古田ラジオの日記「Welcome To Madchester」

フリーライター・婚活ライター・婚活アナリスト、古田ラジオのブログです。

或る世界で最も成功した社会主義国での出来事

ニートと呼ばれる人々について。


あくまでもテレビでよく特集とかされてるのを見たときの感想なんですが、みんながすごい仕事をやりたがっているような気がします。テレビとかで聞くニートの人たちの夢。その極致がまぁ「作家」なんですが、そんなのそう簡単になれるわけではないのは当たり前なわけで・・・。一方でコンビニのバイトとかまぁ探せば(選ばなければ)仕事ならまぁあります。で、なんとか食ってはいけるでしょう。 これは何でなのかちょっと考えてみました。

日本のニートの場合、学歴自体はけっこういい場合がままあるんじゃないかと思います(大卒とかそういうレベル)。そこら辺がイギリスなんかとは違うんではないか。
この「優等生のニート」というのはかなり始末が悪いんではないですかね。DQNのニートつうのもまぁいるはずなんですが、なぜかTVに出てくるニートというのはほとんどが我々の見慣れた、つまり鏡に映る我々のような人々が映っているわけです*1。優等生ニートが自分の存在について悩んでいる中、多分DQNニートはパチスロとかをやっているわけですよ。企業側も劣悪な環境であっても働く意欲をもった人々なんて結構簡単に見つかっているわけです。いわゆる3K職場、そして製造業での外国人労働者の多さはみなさんもご存知の通りです。


パイとその分け前云々という話(パイ自体が今の日本では小さくなりつある)もさることながら、将校になる口と兵卒になる口のアンバランスがあるのではないでしょうか。 今後の日本ではますます将校は必要とされなくなります。企業は新卒正社員というリスクをとってまで将校を育てる気はすでに無くしているのではないのでしょうか。つまり限られた将校への道を巡って人々が殺到する事になります。ここで選ばれているのはほとんどが「素晴らしい」人々です。彼らは常に目を輝かせて、成功を夢み、ポジティブで、学生時代はスポーツに励み、知識も持ち合わせ、一流大学卒です(ついでに何故かその両親も裕福です)。彼らは挫折ということを知りません。ルサンチマンという感情を知りません。コミュニケーションから阻害される事を、コミュニケーションの不可能性を知りません。
これは世界で最も成功した社会主義国が正常な社会に、市場原理が真っ当に働く国になりつつあるからだというのはリバタリアン的には指摘しなければならないことではあるんですが、それに伴ってあまりにも大きな痛みがあると言わざるを得ません。


今の日本人のほとんどは一生兵卒でいる事をよしとするような人々はあまりいません。
別に「ニートはわがままだ」というつもりはありません。
これの原因は「努力さえすれば我々はなんにだってなれる」という例の教えに問題があるんではないかと思います。我々は学校や家庭でこう教えられます。「我々には無限の可能性がある」と。それは確かにそうなんですが、しかし、それにいたるまでの具体的なプロセスが語られることはあまりにも少ないです。可能性や希望、欲望だけが刺激される状態。しかも、いわゆるマスメディアでは成功した人々、最高級の暮らしが洪水のように垂れ流されています。こんなぐらいなら最初から自分が無能であることを教え込まれたほうがどれほど楽だったか!


最後に自分のプライベートな話をします。自分の仕事というのは営業で、営業つうのはどこでもそうですが。結構なブラック就職先な訳です。いや、頭がくらくらすると思いますよ。会社の人々の「素晴らしさ」に。はっきり言って死んで欲しいと思う人も一人や二人ではないです。ごめんなさい。それでも、最近ずっと仕事が忙しくて全国飛び回っているんですが、結構社内事例として紹介されたりしています。それも代々の「素晴らしい人々」が箸にも棒にもかからず投げ出してきたユーザーで*2。そりゃ大変でした。最初の頃なんて行っても全く相手にされませんでしたから。たまに会ってくれてもほとんど時間を全くくれずに10分で話が終わってしまったり。帰るに帰れずに近くのエクセルシオールカフェでずっと時間を潰した事も何回もあります。それが一年ぐらいかけて小さい努力・成功を積み重ねることで何とかなっています。もちろん、この成功がこれからもずっと続くかというとその保証はどこにもありませんが。
きちんとした仕事の手順を踏むこと。トライアンドエラーを恐れない事。続ける事。月並みですがそれが出来れば人間として「素晴らしい」か否かなんて仕事をしていくにあたって全く関係ない、と私は信じています。いや、信じでもしないとやっていけない。だから表面だけの「素晴らしさ」によってそういう道があらかじめ決められる事に私は怒りを覚えます。そして全てを本人の怠惰と切り捨てる老人達にも。

*1:これは多分TV局側のネガティブキャンペーンだけど

*2:私は「素晴らしく」ないのでそういうユーザーしかもたしてもらえない