ハイスクールABC−全てのティーンエイジャーと”心が死んでいない”大人たちへ−
- 作者: 長谷川町蔵,山崎まどか
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
- 発売日: 2006/11
- メディア: 単行本
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値段は2,100円とやや割高ですが、自ら非モテたらんとする人々は是非ご購入をお勧めします*1。
そして、手に入れた暁にはまず、裏表紙をご覧ください。
これだけでご飯3杯はイケます。「これがハイスクールU.S.Aだ!」と題してイカすイラストと共に、この本の主人公達、アメリカ学園映画の世界を生きる人々が分類されています。以下引用。
Jocks(ジョックス)…体育会系のいじめっ子。アメフト部。
Queen Bee(学園女王)…女子の勝ち組。チアリーダー。
Sidekicks(サイドキックス)…学園女王の取り巻き連の中でも最高位の連中。
Wannabe(取り巻き女子)/Pleaser(たかり屋)/Messenger(ぱしり)…それぞれ勝ち組になるのを夢見ている人々。
Preps(プレップス)…文化系の勝ち組。
Slacker(スラッカー)…いわゆる「ボンクラ」。
Goth(ゴス)…いわゆるゴスロリだが、日本のそれとは趣味のベクトルはやや異なるらしい
Nerds(ナーズ)/Geeks(ギーク)/Brain(ブレイン)…いわゆる「オタク」の事
Target(ターゲット)/Loser(ルーザー)…いわゆるいじめられっ子
Bad boy(不良)…いわゆる不良
The Floater(はぐれっ子)…ジョックスらによるヒエラルキーに縛られない文化系女子
これをスクールカーストに当てはめてみます。
・Aクラス
Jocks(ジョックス)、Queen Bee(学園女王)
・Bクラス
Sidekicks(サイドキックス)、Wannabe(取り巻き女子)/Pleaser(たかり屋)/Messenger(パシリ)、Preps(プレップス)、Slacker(スラッカー)
・Cクラス
Goth(ゴス)、Nerds(ナーズ)/Geeks(ギーク)/Brain(ブレイン)、Target(ターゲット)/Loser(ルーザー)
・アウトオブカースト
Bad boy(不良)、The Floater(はぐれっ子)
なんてということでしょう!!「アメリカ人に童貞はいない」とはAタッチャブル*2山崎弘也の名言*3ではありますが、これじゃ、日本と同じじゃないか!!
しかもアメリカではプロム*4なんていうはてな界隈の非モテが参加したら一発で即死しそうなイベントまであるわけです。これを悲劇といわずして何と呼ぶか!
では、これを日本風にアレンジしてみます。
・Aクラス
キャプテン(=ジョックス)…体育会系のいじめっ子。サッカー部、野球部、バスケ部。生徒同士のアイコンタクトによる高度な連係プレイを得意とする。何の連係プレイかはもうおわかりでしょう。
読モ(=学園女王)…女子の勝ち組。ティーン雑誌の読者モデルになってるような人。
・Bクラス
スポーツ部(=サイドキックス)…Aクラスの取り巻き連の中でも比較的高位の連中。
スネ夫(=取り巻き、パシリ、たかり屋)…勝ち組になるのを夢見ている人々。
学級委員(=プレップス)…文化系の勝ち組。勉強が出来るけどいじめられない。
ディープラバー(=Wannabe?)…いわゆる普通の女子。Yoshi大先生のメインボリューム
・Cクラス
ゴスロリ(ゴス)…女オタク?人数的にはそれほど多くない。
オタク(=ナーズ、ギーク、ブレイン)…いわゆる「オタク」の事。Cクラスの中で一番のボリュームゾーンであり、一番目立つ。
石ころ帽子(=スラッカー)…いわゆる「ボンクラ」。クラスの中でも目立たない人。
のび犬(=ターゲット、ルーザー)…いわゆるいじめられっ子。「いじられキャラ*5」
・アウトオブカースト
不良(=不良)…いわゆる不良。そのまんま。
図書館司書(=はぐれっ子)…ヒエラルキーに縛られない文化系子っていうか、そういうのにはなから興味のない人(いいなぁ)
書いてて泣けてきました。ああ、アメリカも同じなんだ、やっぱりそうなんだ。って。
でも、この本の一番素晴らしいところ。ここまで分類しておきながらそれでも「そんなこと大したことないよ」って言っているところ。もちろん、この「大したことないよ」っていうのはそこら辺の先生とか政財界の偉い人達が言っているのとは訳が違います。アメリカ(つうか日本。青春時代にすべからくある現象といってよいでしょう)のスクールカーストがそれはまぁとてもしんどいもんだ、という事実を十二分に指摘しつつも、それでもなお人生の中での一部分だし、いつか何とかなることもあるんだ、という思いを込めての「大したことないよ」なんだと思いました。そしてそれは非モテとか非コミュとかオタクとか文化系ニートとかそういうことで疎外感を味わっている人たちにとってはそれなりに心強い励ましの言葉じゃないのかなぁ、と思います。
最後に、長谷川町蔵、山崎まどか両氏にはありがとうございますとご苦労様でしたという心からの言葉を、この本を知るきっかけになったエントリ*6の作者、乙木一史氏に感謝の言葉を。そして、この本の全てが表されているような気がするこの冒頭一文を。
たった今、理不尽なスクール・ライフをおくっている子どもたちへ。そして人生という長い放課後を生きる大人たちへ