俺達に歴史はいらない
史学科の私がこういう内容を書くことがまぁ皮肉なんですが・・・。
明日文化系トークラジオLifeに取り上げられた御礼+明日の公開放送に参加するにあたり、テーマが「文化と貧乏/文化系とお金」という事でそれに関連した内容を一つ。
http://www.tbsradio.jp/life/2007/05/_2.html
サブカルチャーには2つの主義主張があります。というかあるとたった今私が決めました。
サブカル歴史主義・・・文献の量・質や、現場で見ているかどうかどうかを最優先する考え方
サブカルロマン主義・・・チョイスや着こなしといったセンスを最優先する考え方。
昔のサブカルの偉い人(いわゆるオタク第1世代?)は皆歴史主義者でした。つまり、はっぴぃえんどからナイアガラレコードから連綿と続く邦楽の歴史を全てこの耳におさめ、ガンダムをファーストから今のヤツまで全部見て、そして今の作品を歴史的に位置づけることができて初めてサブカル(オタク)を名乗る事ができました。
これにはある種の才能が必要なことがあるのももちろんですが、アーカイブの優劣によってサブカル歴史主義者としての優劣が決まるのなら、つまりアーカイブを買うためのお金の多い少ないによってその優劣が決まるともいえるでしょう。
でも今のサブカルはどんどんロマン主義化しています。それはネットの普及や、アーカイブがあまりにも広大かつ細分化されたためにだれも歴史を位置づける事ができなくなったことなどによりますが、サブカルロマン主義というのはつまり、たくさんあるサブカル趣味の中から何を選ぶか、どれとどれを組み合わせるか、どんな小見出しを作るかといった、「センス」によってその優劣が決まります。つまり、ちょっとロッキンオンジャパン読んだり、ちょっとミニシアター行くことで、今は簡単にサブカルになります。サブカルロマン主義には金は必要ありません。なんて平等なんでしょうか*1!ところが、サブカルロマン主義が拠り所とする「センス」とはなんでしょうか。
「センス」つうのは物凄く主観的なもので、モノとして見えるものでもありません。そして人の数だけ評価軸があります。そうなってしまった場合、自分のセンスを「アリ」と認めてもらうのに私たちは権威、「君のセンスはアリだよ」と言ってくれる人を必要とします。そういう意味でスタジオボイスはまだまだ必要であるといえるでしょうが、もっと効率的な方法、それはおそらくネット上の「閉じた」コミュニティがいっぱい出てきてお互いに権威付けしあう事です。
でもそれはつまり、すげーつまんなくなる、という事です。
*1:入り口が誰にでも解放されている、という事。