古田ラジオの日記「Welcome To Madchester」

フリーライター・婚活ライター・婚活アナリスト、古田ラジオのブログです。

「営業」

珍しく仕事の話です。
賢明なる読者諸兄におかれましては、ご存知の事かもしれませんが、実は私はリアルでは営業職をやっております。
たまーに、その辺の事を話すと、営業という仕事についてなんだか勘違いされてるなーと思ってしまいます*1。ポエム的に少し書いてみます。

  • 営業といっても色々ある

まず、意外と見過ごされている事ですが、営業と一口に言ってもその仕事内容は多岐にわたります。
まず大きく2つに分けられます。
・ルート営業・・・すでに自社商品を使っている顧客を回って営業する
・飛び込み営業・・・他者商品を使っている顧客に文字通り飛込みして営業する

実際にどちらか片方の要素しかないというのは稀で、両方の要素があると思う訳ですが、なぜかほとんどの就職情報誌における企業紹介にて、「飛び込み営業」は存在しない事になっていますが、そんな上手い話があるわけもなく、ほとんどの会社の新入社員が今日も名刺片手に飛び込み営業しているわけです。
この2つを見て、どちらがより困難か、というのはほとんどいうまでもないといえるでしょう。


そして、こちらを見ていただきたいのですが、
http://www.geocities.jp/job_ranking/sougou/black.htm
つうかランクインしちゃってるんだよね・・・うちの会社。
それはさておき、このランキングを見ると、飛び込み営業の要素が高い(つうかほとんど)で、明らかに営業ノルマがキツくてだろうな・・・とわかる会社が多数ランクインしています。(具体名は出せません)


さて、これも当たり前ですが、営業で取り扱う商品によっても仕事の困難さというのは変わってきます。
よく営業指南本などで、「石ころでも売れる」みたいな事を書いている人もいますが、私はそれが信じられません。
石と自動車とコピー機では売り方とか全く違うと思うんですよね。さて、売りづらい商品というのは大体次の傾向があります。
・買い替え周期が長い
・一人一社の商品しか使わない
・すでに普及している商品
つまり、競争が激しい商品ほど困難になります(当たり前だ)んで、以上を踏まえて考えると「ルート営業で基本競争がない」会社の営業と「飛び込み営業で競争が激しい」会社の営業とは当然仕事のキツさにしても内容にしても違ってくるわけです。
「ルート営業で基本競争がない」会社は顧客との関係をいかに良いものにしてそれを維持していくかが問題
「ルート営業で競争が激しい」会社は顧客内でのシェアをいかに増やすかが問題
「飛び込み営業で基本競争がない」会社はいかに商品を欲しがっている顧客を見つけるかが問題
「飛び込み営業で競争が激しい」会社はいかに他社と差別化できるかが問題
ざっと考えてみたところでもこれだけの違いがあります。それにしたってゴルフしてりゃ売れるとか、客を騙すとかそういうのじゃないと思うんだよな・・・。

  • なぜ飛び込み営業はブラックなのか


営業に限らず、仕事で一番重要なのが「やり方を覚える」という事ですが、それに一番よいのは成功体験、つまり上手くいった経験をもとにする事です。営業の成功体験といえばそれは要するに顧客に商品を買ってもらうことです。
ところが、このブラック企業、そのほとんどが飛び込み営業を主としていますが、それらの多くでは新入社員が最も困難な仕事=飛び込みをさせられます。よく「飛び込みは営業の永遠のテーマ」と私の上司などは酒の席、上機嫌に言うのですが、なんで「永遠のテーマ」を新入社員にやらせているのかはよくわかりません。


それでまぁ飛び込みをするわけですが、売れない事の方が多いわけです。そうするとほとんどの会社では「何で売れないんだ!」といわれるのですが、何でといわれても、まぁこっちが教えて欲しいくらいで*2
顧客が物を買う理由なんてそれこそ顧客によってまるで違うわけで、ある人の前では◎だったのが他の人の所では大×なんていうことは良くある事です。そして、たとえどんなスーパー営業マンでも全く買う気のない顧客に商品を買わせることはできないのです。つまり、例えばあなたがもし去年車を買っていたら、どれだけ話術が凄かろうと知識があろうと、話なんて聞かないし、買いもしないでしょう。それが来年車検だとか、ついこないだパンクしたとかなって初めて話を聴こうとなるわけで、いわゆる「営業テクニック」が活用されるのはそれ以降なわけです。
そして「飛び込み営業」の困難さというのはほとんどがそれ以前にあるわけです。


「話を聞いてくれる人」を探すところから始めないといけない。


つまり、何が言いたいのかというと、飛び込み営業なんていうのは運の要素がかなり高いわけです。そして宝くじに当たらなかったからといって「何で宝くじに当たらないんだ!」と怒鳴り散らす人がもしいたら、そのひとはちょっと頭の中がお花畑だと思われるでしょう。つまりそういうことです。そして、宝くじに当たる確率を少しでも引き上げようとすれば、その唯一の方法はくじをとにかく沢山引く事です。かくして新入社員たちは毎日100件200件と電話をかける事になるのです。
そして新入社員は成功体験を積む前にどんどん辞めていく事になります。ただ、安心してください。会社は新人社員がいなくなっても一向に困りません。なぜならそういう会社は常に人が有り余っているから(なんでかはおわかりですよね)。

*1:勘違いしている人の例:http://fragments.g.hatena.ne.jp/furukatsu/

*2:飛び込み営業専門の部署というのは悲惨だ。毎日「なんで売れないんだ!」って聴かれるわけだから。つうかこんな優しく聞かれるんだったらいいよ