少年マンガの主人公にも、エリートマッチョにもなれない若手社員ための5冊
http://d.hatena.ne.jp/guri_2/20080316/1205641886
こういう少年マンガイデオロギー(id:y_arim氏の命名による)でもって行動できる人は幸せです。
ごちゃごちゃ言ってるけど、勇気がないだけじゃん
これは私が新入社員の時も上司によく言われました。結局私にはできませんでしたが。
「兵隊」としてこの手の人は社会のどの場所に行っても重宝されます。
大して賢くはないが、とにかく前に進んでくれるから。
あれこれ理由を考えたりしないから(それはまぁDQNということになるんでしょうが)。
こういう要素が会社の一つの要素だという事は認めます。とりわけ営業のような職種では新入社員のころには必ずやらされますし、必須の素養だといえるでしょう。もちろん会社にもよりますが。
一方で、「○○するための○冊」みたいなエントリを定期的に上げる子飼弾的エリートマッチョも幸せです。なぜなら彼らは会社に頼る必要なんてないから。
ところが、多くの人たちは少年マンガの主人公ではありませんし、エリートマッチョでもありません。
ごちゃごちゃいわずにさっさと突撃しろと言われて突撃できる人やJavaがどうしたコモディティがどうしたといって議論ができる人も、実は少数派です。
そういう人たち(とりわけ入社5年以下の若手社員)のために選んだのが以下の5冊です。
選ぶ時に注意したのは読みやすさです。
どんなにすごいことが書いてあってもまずは全部読みきって理解しないことにはどうにもならない。「はてな」近辺にいる人が想像するよりも世の中の多くの人々はずっと頭が悪いしめんどくさがりだと私は思います。
その上で、
弱者でありながら、強者に勝つ(=GIANT KILLING)
ための参考になるような本を選んでみました。
- 全ては客観数値に
- 作者: マイケル・ルイス,中山宥
- 出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン
- 発売日: 2006/03/02
- メディア: 文庫
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・たとえ現状で上手くいっていても改善は常にプラスになる。
・はっきりと必要に迫られてしまったら、すでに手遅れ
・うちにとって各選手がどれぐらいの価値があるか、正確に把握せよ
・自分達が本当に必要なものを探せ、相手が売りたがっているものに釣られるな
・マスコミは無視するに限る
ビリー・ビーン=オークランド・アスレチックスGMのトレード5原則(本書より)
例えばビーンは選手の「将来性」を全く信用しません。
例えばビーンは選手の「守備力」「出塁する力」「ピッチャーが打たれてヒットにならない確率」を数値にします。
例えばビーンは有用な数値(出塁率や奪三振率)とほとんど意味のない数値(打点や防御率)を選り分けます
例えばビーンは野球を「敵より先に27個のアウトをとるスポーツ」だと定義します
全てを数値化し、数値を元に戦略を立てること。これは野球と数学の革命であると同時にビジネスを進めるあたって最も必要な事であると思います。
- 「その人の欲望」を理解する
- 作者: 岡田斗司夫
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2000/04
- メディア: 単行本
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会社にはいろいろな人がいます。性格も十人十色ですが、「その人の欲望」を理解することで、大分対応策のツボがわかってきます。
その人が他人に勝ちたいのか、ちやほやされたいのか、自分のやり方を押し通したいのか、理由を知りたいのか、それがわかるだけで他人にどう対応したらいいのかの一つの指標にはなります。
この本の重要な所、それは「人は本質的には変われない」ということです。そして隣の芝は青く見えるという事も。
- 戦略、スピード、意志
V字回復の経営―2年で会社を変えられますか (日経ビジネス人文庫)
- 作者: 三枝匡
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2006/04
- メディア: 文庫
- 購入: 30人 クリック: 291回
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唯一の「まともな(?)」ビジネス書。このシリーズは3つともお勧めです。
経営者の話ですが、会社の部課レベルの小さな部署でも使える内容だと思います。
先ほど数字の話をしましたが、ここでも、重要な数値をよりわけ、実態に合った数値を見つける(作る?)かが如何に重要かがわかります。自分に与えられている数値が正しく実態を反映しているわけではないという事はリアルの世界がゲームとは違うところです。それぐらい出てくる数値が適当な事が多い。そして問題点の根っこを掴みスピード感を持って対処すること。創る→作る→売るのサイクルを小さく素早く回していくこと。簡単に書いていますが、少しでも仕事をしていればこれが死ぬほど難しいという事にはすぐに気がつくでしょう。
最後に、少年マンガの世界とは全く別の次元で意志の力は重要だという事に気付きます。が、本書中に出てくる意志ある経営者なりミドルにはまずお目にかかれないことは覚悟しておいた方がいいでしょう。問題はその上でどう振る舞うか、です。
- 仕事はRPGだ!
- 作者: 米光一成
- 出版社/メーカー: ベストセラーズ
- 発売日: 2007/07/14
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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とにかく読みやすい。しかも米光式発想法(えらそうだ)のエッセンスがまとめられていて、ちょっと突飛な内容だけど意識するとしないとでは仕事の内容もずいぶん違ってきます。特に私が意識しているのは「4つの距離*1」です。これを意識して文書なり話なりをしようとするのとしないのとでは相手への伝わりやすさが断然違ってくると感じます。
特に客先にメールを送ったりするときには必須の技術だと思います。
- ルールの間隙をつく
「黄金の羽根」を手に入れる自由と奴隷の人生設計 (講談社プラスアルファ文庫)
- 作者: 橘玲,海外投資を楽しむ会
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/08/24
- メディア: 文庫
- 購入: 9人 クリック: 86回
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お金の事を知ることは重要です。本書中で書かれていることのほとんどが知らなかった事にまず愕然としますが(学校ではほとんどお金について教わってこなかったから当たり前だけど)、それ以上に重要なのはルールの間隙をつくという事です。
日本国というシステムの中も当然ルールは設定されていますが、ルールが巨大な分だけその隙間も存在します。まずはゲーム*2のルールを知ること、そしてその上でルールの隙間を見つけること。社会人になって何十年経つのにゲームのルールひとつ知らない、という人々をあなたは会社で見かけるでしょう。
そういう人が平和に生きられる時代はすでに過ぎ去りました。
「今、ここ」でどんなゲームが行われているかすら知らない人は知らぬ間にケツの毛までむしり取られます。誠実にふるまうかどうかはさておき、最低条件としてルールを知ることは必要ではないでしょうか。
そんな感じで。もちろん一番重要なのは仕入れた知識を実行することだと思いますが。まぁ私も全然できていませんが。