古田ラジオの日記「Welcome To Madchester」

フリーライター・婚活ライター・婚活アナリスト、古田ラジオのブログです。

映画「JOY DIVISION」を見てきた

先週の金曜日、渋谷で映画「JOY DIVISION」を見てきた。
私は「24Hour Party People」がクソ好きで、今だにたまに見直したりする。
24Hour Party Peopleはドキュメンタリーではない。
が、(想像上の)シーンの空気という意味では最もうまく描いてると思う。
24Hour Party PeopleはMadchesterのプロパガンダ映画だ。
トニー・ウィルソンの、New Orderが、ファクトリーが、本人たちによって神話化された映画だ。
だけど、その神話はあまりにバカバカしくて、あまりに愛おしい。
一方で、イアン・カーティスの伝記映画として作られた「CONTROL」。
イアン・カーティス個人の内面に迫ったその映画はあまりにも重苦しく、恋愛映画としての要素が強すぎて正直、私はあまり面白いとは感じなかった。


そういう人間は多分この映画を見た方がいい。
トニー・ウィルソンNew Orderの面々をはじめ、アニーク(イアンの不倫相手)やピーター・サヴェルまで出てきてJOY DIVISIONとは何だったのか、という事を語る。
ただ、それはあくまでも他者としての目である。
それはあくまでもトニー・ウィルソンやバーニーから見たJOY DIVISIONだ。
JOY DIVISIONというのは多分、「何だかわからないバンド」なのだ。
その内側には何かが、ある、ということはわかる。
だけど、それが何なのかは誰にもわからない。
JOY DIVISIONはパンクでもあるし、ダンスでもあるし、ポップでもある。
だけど、一貫した「JOY DIVISIONらしさ」がある。だけどそれが何なのかはよくわからない。
New Orderを聴いてもこんなことにはならない。
New Orderは多分、「何もない」というところから始まったバンドなのだから。
New Orderを聴いても人は不安に駆られる事はない*1。だけど、JOY DIVISIONは人を不安にさせる。


だけど、ひとつだけ恐らく確かなのは、JOY DIVISIONはManchesterのバンドだ、という事だ。
その昔、栄華を誇った工業都市だったが、今は落ちぶれている。
荒涼とした廃墟と冷たさ。
工業製品を思わせるその音はJOY DIVISIONからNew Orderに受け継がれたものだと思う。
JOY DIVISION」も「24Hour Party People」もManchesterという都市を愛情とこだわりをもって語る。MadchesterはManchesterの廃墟からの再生の物語でもある。
そして、その最初の担い手はJOY DIVISIONだ。
JOY DIVISIONは都市に生きる孤独を歌う。
それが聴く人を不安にさせる。

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*1:曲としてはNew Orderの方が好きだけど