古田ラジオの日記「Welcome To Madchester」

フリーライター・婚活ライター・婚活アナリスト、古田ラジオのブログです。

「とりあえず働け」的な何か

http://www.tbsradio.jp/life/index.html
昨日は文化系トークラジオLifeのイベントに行ってきました。
内容的には、やはり文化系トークラジオlife的な面白い視点がありました。
詳しい内容は、今度ポッドキャストで配信されるということなので、そちらを是非ご確認いただきたいと思いまが、簡単にまとめてみると、


・就職に関しての社会的な背景…各企業の取り組みとか、現場の取り組みとかもうちょい広く金融政策や不況の話など
・「自己啓発化」する就職…自己分析→エントリーシートの話や、コミュニケーション能力、「やりたい事をみつけろ幻想」、勝間和代などについて
・個人の人生における就職・仕事…キャリアデザイン⇔キャリアパス⇔人生設計の話や、「自分を曲げて社会に適応しないといけない幻想」=古典的な大学生の不安?


というような内容でした。個人的にはサブパーソナリティ、日経BP柳瀬さんの「人生の中心に仕事を置きすぎ」というのは至言だと思いました。


イベントの内容やその後のオフ会などに参加してしみじみと思ったのは、まぁ、なんつうか就活って基本的に「無理」だよね、という事です。
何が無理かっていうと、就職活動に登場する人達はみな嘘(っていうと語弊があるけど)をついています。学生側にしても、会社側にしても(誰にだって言わなくていいことや隠しておきたい事はある)。
細かい例でいうと、とにかく営業って人気ないじゃないですか(笑)。入る時にはみんな「営業向いています」とか「コミュニケーション能力あります」とかあれだけ言ってたのに、入ったらみんな公募出す、みたいな。会社側にだって実は触れられたくない情報はあります。「ソリューション営業」とか言って中身は1日100件かけさせられて新規開拓、みたいな。


要するに、就職活動に際しては、採用する方も、される方も基本的に嘘をついている(これを嘘とよぶべきものかはわかりませんが)。ただ、逆にここで私が首をひねりたくなるのが、なんで「何もかも明らかになってないといけない」とか「明確な基準によって線引がなされなければいけない」んだろうか、といういう事です。「待遇」とか「自分がやりたいこと」とか「自分ができること」とか。「死んでいる問題」(学校のテストのようなあらかじめ答えが決まっている問題)と「生きている問題」(明確な答えの出ない問題)で言うと、就職だとか、会社で生きるというのは「生きている問題」の極致みたいなもんだと思います。
簡単に言うと、うちの会社の働きやすさ、とか俺だってしらねーよ、みたいな事です。
つうか、「この会社入って正解だったか」とか会社入って2〜30年しないと分からないだろう、と思います。
そもそも、「仕事における能力」ほど不確かで人とか会社によって解釈が違うものはありません。
「上司と酒を飲む能力」が仕事における能力である会社もありますし、体育会系でとにかく言われた事をこなすのが仕事における能力だという会社もあります。かといって、パワポ何十枚も作ってプレゼンするのが能力だという会社もあります。つまり「仕事における能力」なんていうのは会社だとかもっというと所属する部署(同じ職種であっても)によって違ってくると思います。


確かに、会社とか仕事って一生を賭けかねないといけないから気持ちはわからなくもないけど、そこの不安を誤魔化して「生きている問題」を「死んでいる問題」*1風に解こうとした結果、自己啓発しろというキャンペーンで一部の人たちにビジネスチャンスを与える。アンソニーロビンズのセミナー行ってはあちゅう大喜び、みたいなこれはこれで美しい形なのかもしれないと思います。ただ、なんでみんな「最初からすべてがわかってないといけない」のかな。


あと、イベントの質疑応答の時に、社会人の人の発言で「中小は中小でそれなりに暮らしていける」みたいな事を言っていて、それはその通りだと思って私は聞いていたのですが、やはり就職について語る際には転職についても語らなければいけないと思いました。あれほど就職の時にみつけろと言われ続けた「自分のやりたいこと」ができないってわかった時にじゃあ転職すんのか、とか。私は基本的に人間どんなきっかけで成長して能力が上がって行くのかわからないと思っているのですが、そんときに転職っていう回路は準備されてるの?みたいな所ですね。あそこの場にいた学生もそこら辺を語らないとわりと片手落ちになってしまうんじゃないかなと思います。

*1:「仕事を100倍楽しくするプロジェクト攻略本」(KKベストセラーズ)より