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古田ラジオの日記「Welcome To Madchester」

フリーライター・婚活ライター・婚活アナリスト、古田ラジオのブログです。

マイナスの自己啓発

― そこで、一つ疑問があるんですよ。汎用性の高いバズワードだっていうのはおっしゃるとおりだと思うのですが、「非モテ」と「非コミュ」と「オタク」が渾然と語られるわけじゃないですか。それって当事者的にはどうなんですか?
R  大前提として、これは多くの人が間違えているけど、「オタク」と「非モテ」と「非コミュ」っていうのは全然別の話だからね。「オタク」には「モテ」も「非モテ」もいるし、「非モテ」には「オタク」も「サブカル」もいる。「非コミュ」に至っては、「そもそも『コミュニケーション能力』って何?」というところから始めないといけないわけで。
M 「非モテ」も「非コミュ」も「オタク」も全部バズワードだから、ごっちゃにしたら3乗わけわからなくなる(笑)
― そう、それをぜんぶいっしょくたに語っているエントリーが多すぎる。
R ただ、まず、混同しておいた方が政治的にいいっていう話はあると思う。3つ一緒に語った方が、盛り上がるんですよ、ぶっちゃけ。だからみんな3つが別の話だとわざと気が付いていないふりをしている事になってる。
T そもそも、階層が別次元にあるような感じですよね。その3つは、階層は違うけど、重なっているみたいな
R  あともう一つが、俺は「マイナスの自己啓発」って呼んでいるけど、インターネット上では、マイナス方向に振る舞えば振る舞うほど元気になるっていう人たちがいるんですよ。つまり、自分の負の感情をネットに吐き出すことでバランスがとれる。2ちゃんねる喪男板っていうのも、あそこで書かれている事が、じゃあ全部真実かっていうと、私はそうとは言い切れないと思います。「そういうことになっている」だけで。そこは大前提なので疑ってはいけない。でも、そういう人たちにとっては、障害は多ければ多いほどいい。


(『奇刊クリルタイ4.0』「おっさんブロガー座談会」より抜粋。強調部は私の手による)


今回はクリルタイ4.0の補足エントリとして、座談会中の私の発言、「マイナスの自己啓発」についてもう少し詳細を。
インターネットの一部には、極めて自己啓発と親和性の高い人々がいます。「ビジネス!ビジネス!」的な人に限ってそういう人が多いんですが、この類の人たちの自己啓発性というのは千差万別*1ですが、多くの人は別に自己啓発セミナーを受けているわけではなく、「あり得ないぐらいポジティブシンキング」である事が多いと思います。これらはいわゆる「GREE的なノリ」にも通ずるものがありますが、ここではこうした過剰なポジティブシンキングを「プラスの自己啓発」と呼ぶこととします。
一方でインターネットにおいては「あり得ないぐらいネガティブシンキング」である人も一定数います。これを仮に「マイナスの自己啓発」と呼びます。一般的に真逆の存在とされがちな「プラスの自己啓発」と「マイナスの自己啓発」ですが、「あり得ないぐらいポジティブ」と「あり得ないぐらいネガティブ」というのは、エネルギーが正負どちらに向かっているかというだけの違いであり、両者は基本的には似た者同士のように思えます。


2ちゃんねる喪男板などにおいては自分の人生に対して過剰(にみえる)なほど悲観的な書き込みがしばしば見かけます。曰く、人生終わり、日本終わり、女は醜いなどなど。これらの書き込みが「ほんとうかどうか」というのはあまり考慮されず、それらの書き込みはなんとなく真実らしきものとしてネガティブ(というかがっかりした)な感情だけが場において消費されていき、それ以外の感情は「ノイズ」として排除されます。「非モテ」議論において結構謎なのが、本来全く別の問題であるはずの「非コミュ」や「ロストジェネレーション」といった議論としばしば一緒に語られる事です。これらはもちろん、本当に関連した話題であるということもいえますが、こうした語られ方の一因は「マイナスの自己啓発」によるのではないでしょうか。要するに、「マイナスの自己啓発」によって語られる場においては、「マイナス」は多ければ多いほどよい、という事です。
「プラスの自己啓発」にせよ「マイナスの自己啓発」にせよ、「語られるのはひたすらプラス(もしくはマイナス)の事象のみ」、「そこで語られる内容が事実かどうかという事は大して問題とされない」という2点においては共通していますが、マイナスの自己啓発がプラスの自己啓発と決定的に違う点、それは「マイナスの自己啓発はネットでしか表明する場所がない」という事です。つまり、プラスの自己啓発はリアルでもどこでも表明できる、というか、ビジネスにおいてはある程度そう振る舞うのを要請されている*2のに対して、ネガティブさというのはリアルでは「表明してはならない感情」だとされています。逆に言うと、だからこそマイナスの自己啓発はネット上においてはプラスの自己啓発よりもより強固な存在であるし、ある種のはけ口として必要とされ続けるのではないでしょうか。

*1:はぁちゅう大先生のように本当に「あちら側」に行ってしまう人もいる

*2:つまりネット上でやたらと「ビジネス!ビジネス!ポジティブ!!」的な事を言う人は会社から要求されていることがそのまま素になってしまった、ある意味幸福な人だと言えます

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