古田ラジオの日記「Welcome To Madchester」

フリーライター・婚活ライター・婚活アナリスト、古田ラジオのブログです。

「わが家の歴史」

「我が家の歴史」の話を。
金〜日までかけてずっと追いかけていて、先週末は三谷幸喜ウィークでしたが、
結論言うと、非常に微妙な作品でした。


大泉洋演じるつるちゃんの人生や吉田茂の飄々とした部分とか、ここで「この有名人が出るか」っていうニヤっとする部分はあってそこは大好きでした。私は三谷信者なんですが、三谷幸喜は喜劇の人でああいう、ニヤッとするところが大好きだったので、それはかなり楽しめました。


ただ、なんていうか、途中で終わったような残尿感があったのも事実。


堀北真希長澤まさみはあの後、絶対不幸になってる気が・・・。「オリンピック後」に「我が家」がどうなったのか、明確になってはいませんが、我々は知っているはずです。我々はよってたかって「我が家」をこわしつくした事を。「その後の我が家」は確実に暗い内容になるだろうし、あの家族にイヤーな事が起こるだろうから、三谷幸喜の資質的に書けないのではないかと思います・・・。

あと、戦争中から東京オリンピック前に終わらせたのが「三丁目の夕日」ばりの団塊世代のビルドゥングスロマン的な気持ち悪さがぬぐい切れず・・・といったところです。正直、あの手の自慢話は聞きあきた気がします。


ただ、我々は、自分たちの手によって「わが家」はこわしつくし、すでに親も家族もない、むき出しの個人と個人がたまたま同じ家に存在しているに過ぎないという事をある程度自覚していますが、ある世代以上*1の人たちはそれすらわからず、単に「わが家の歴史」は「懐かしい過去」とイコールという事になるのかもしれません。要するに、我々は「わが家の人々」が「底抜けに生き抜いて」いける事を到底信じられない。だから、「わが家の歴史」を完璧に楽しむにはある世代以上でなければならず、残念ながら自分は楽しめない側の人間だったということになるでしょう。
そして、その差はおそらく、今の日本社会の中で最も埋められない溝であるように思います。


ちなみに。「わが家の歴史」において、八女家の人々は極めて非政治的な存在(特定の政治的な主張もなく、簡単に右になったり左になったりする)でしたが、これは物凄い皮肉であるような気がしました。

*1:で、これは今の日本社会の中で最もどうしょうもない人たちに重なるような気がする