古田ラジオの日記「Welcome To Madchester」

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『an・an』「バツイチ男特集」が意味不明

an・an (アン・アン) 2011年 5/11号 [雑誌]

an・an (アン・アン) 2011年 5/11号 [雑誌]


「『an・an』(偉大なる宇多丸氏の表現に従うと『an!an!』)がやべぇ・・・」とは最近とみに言われることである。先日も「院系男子がモテる」という驚愕の企画が半径1クリック内に笑撃を巻き起こしたばかり。だが、今回の小特集『バツイチ男が恋人に向く理由』もかなり笑え・・・というかウザい特集であった。まぁ内容というのは予想の通り「バツイチ男子って良くない?」というこの特集、まず巻頭から「バツイチ子なしが理想」とぶち上げられていてずっこける。それだとバツイチの半分ぐらいダメなんでは・・・というツッコミもそこそこにバツイチ男子が良い理由というのがまた素晴らしい。


・優しい
・理想を求めない
・少なくとも結婚する意思はある


最後が何とも悲哀をそそる。つまり、そもそも恋愛に興味がなかったり、いつまでも結婚しない男よりはいいという後ろ向きな理由。まさに「オタク完全勝利!」の瞬間。それにしても「草食系男子」が肯定されるのと同様の「消去法での後ろ向きな選択」としての「バツイチ男子」!これじゃあバツイチ男子もげんなりするだろ・・・というしょんぼりしながらバツイチ男子カップルへのインタビューが。その中の一人に彼女の生理周期を知るために「ルナルナ」のアプリを自分の携帯い入れていると豪語するバツイチ男子。イヤそれ普通に気持ち悪いだろ・・・。後日、知り合い(女性)に確認したところ「絶対イヤ!」とのありがたいコメントが。生理なんてどうでもいい、というつもりは毛頭ない。だがそのために自分の携帯にアプリダウンロードするか?という疑問。そしてそれが「優しさ」として処理されるさらなる疑問。
そして、バツイチ男子との恋愛を描いたマンガの後、今回最大のズッコケポイントが。「こんなバツイチ男子はNG」というバツイチ男子NG集だが、そのNG集がふるっている。


・金遣い粗い
・彼女より仕事を優先する
・夢追い人
・女好き
・マザコン
・暗い(離婚されて自信を失っている)


・・・。これ以外の理由で離婚する人っているの?という疑問。確かにいるかもしれないけど、世のバツイチ男子の多くがこのNG集(の複数)に引っかかっているのでは?
つまり、ここで言っているのは「バツイチ男子の優良物件を探せ」という、お前はジパング探しに行ったマルコポーロかっていうぐらいの勢いの都合のよさ。というか、誤解を恐れずに言えばこれは妄想である。
今回の「バツイチ男子特集」。簡単にいえば「消去法での後ろ向きな選択」+「妄想」である。でも、女性誌って最近こんなことばっかりやってないか?電車男、草食系男子、理系男子、料理男子、院生男子・・・etc。枚挙にいとまがない。


普通に考えて、夫として最上級なのは『Very』における「イケダン(「イケてるだんな様」の略)」のような存在である、という事に異論はあまりないだろう。なるべく早い段階でイケダン*1をゲットし、恐らく一部上場企業以上のランクの企業に勤めているであろうイケダンの収入をあてにしつつ自分とミセスオーガニックさんでも探しとくという「ワークライフバランス(笑)」の実践がベストのライフプラン、という発想はまだまだそれなりに強固に残っている。というか強度の差さえあれ、大部分の女性の本音であるように思う。ただし、男性の本音だって大して変わらないわけだから、それ自体は全く問題ではない。男性だって奥さんは料理できたほうがいいし、仕事してたほうがいいし、若い方がいい。これらは要するに「金ないよりは会った方がいいよね」という程度の話である。だが、問題は、そんな人あまりいない、という事だ。そして『anan』を読んでいるようなわりとぼんくら*2な女子はそうした「イケダン獲得競争」に負ける可能性が高い。そして、そこで浮上するのが「まだまし」な草食系男子などなのではないか。確かに草食系男子は性欲が薄めなことに目をつぶれば付き合いやすいかもしれない。電車男もオタクである事に目をつぶれば付き合える。というか、こうした電車男や草食系男子を後で「教育」すればよい。こうした視点は白河桃子大先生*3の理論にも共通する。これで選ばれる方からすれば迷惑な話だが。つまり、最近の「○○男子」というのは「○○なところに目をつぶれば付き合える」という理論である、というところにおいて「消去法での後ろ向きの選択」である。
ただ、「実際」の草食系男子は女性に興味がなかったりと問題点が多々ある。電車男だって、「服とか変えてみたらあら不思議」なんてことはあまりなく、まぁ普通に小太りだったりするリスクもあるわけで、そこで登場するのが妄想上の草食系男子なのではないだろうか。つまり、「臭いものにフタ」の理論で登場するのが「子なしバツイチ」みたいな珍妙な存在なのではないだろう。


だが、私はここまでは全く問題ないと思う。たとえ院生男子だろうがバツイチ男子だろうがなんだろうが、ぼんくら男子が「文化系女子っていいよね」とか言ってるのと大して変わらないんだから。
だけど、私がイラっとくるのは、そういうぼんくら男子の事をあなたたち散々バカにしてらっしゃいませんでしたっけ?という事なのだ。いわく現実を見ろ、いわくだからモテないんだなどなど。
ならば今こそ、我々は『anan』の読者諸賢にこういうべきではないか、「だからモテないんだ」と。

*1:っていうかこれ恥ずかしくない?

*2:これは『映画秘宝』読んでる女子という意味ではなく、文字通り機転が利かない人という意味。『anan』は別にプレーンなファッション誌という感じではなく、どちらかというとモサい≒非モテ的な女子が読むというのが私の考え。だって、吉田豪杉作J太郎が出る女性誌ってあるか?

*3:知ってる?