古田ラジオの日記「Welcome To Madchester」

フリーライター・婚活ライター・婚活アナリスト、古田ラジオのブログです。

プロとアマの違いなんてなくなるという妙な話

色々と思うところがあるので書いておく。

http://togetter.com/li/465243

このTogetterまとめの話なんだが、現状認識としては理解できる。

基本的にある事柄に対して、「いくらなら買うか」っていうのは売り手と買い手が決めることであって、誰かが「○円じゃないとダメ」っていう性質のものではない。
で、買い手はゼロ円でも募集が来ると思っている以上、ゼロ円で募集をかける。それは自分らぐらいネームバリューあればただでも仕事がやりたいという人がいるだろうという考えがあってのことなのでそれを思うのは勝手。なぜなら応募がゼロ件で恥をかくのは募集をかけた当人たちのはずなんだから。それでも応募した人は買い手に輪をかけたアホ(ワナビー)ってだけだ。それで報酬がなかろうがしったこっちゃないと思うんだけど。

でも、俺はそういうワナビー(と書いてアホと読む)は結構いると思う。彼らにとっては仕事(や実績)がどうしたってほしい。でその先に何があるのかってよくわかってないわけだけど、別にそれでもいいわけ。だから応募する。それに、ワナビーまでいかないけど、もともと前の職場でデザインとかやってたけど結婚して家庭にひっこんだから暇だし小遣い欲しいからなんかやってみっか的な人とかもいると思うんだよね。で、そういう人は報酬がどうとかどうでもいいというかわりかし安くやっているはずである。
だから、俺はこの需要と供給のマッチした幸せなカップリングは結構成立していた可能性はけっこう高いと思う。それに対してブーブー言っている人は自分たちの食いぶちを減らさないでほしいっていうのが本音のところなんじゃないんだろうか。で、システム側が変わってるのにそんなことばっか言ってても変わらないんじゃないの―という意見はまぁ、理解はできる。

ナナピとか見てみればわかると思うけど、今や、数百円の単価でライター仕事請け負う人間がごまんといるわけで、それによって書かれた記事が堂々とポータルサイトで「ニュース」として配信されてしまっているわけだ。ライターの世界だけがそうで、○○の世界にはそんな奴は絶対いないとなぜ言いきれる?現に「例えば、「pixiv」と言うイラストサイトをご存じでしょうか。ここは、イラストの上手な多くの一般人が自分のイラストを投稿するサイトですが、ここでゲームのイラストを描いてもらう学生を見つけると、驚くほど安い値段でゲームを制作できたりします。」という本音を語ってしまった人だっているわけで。
つまり、これはライティングやイラストといったクリエイティブ的なサービスに限らず、およそウェブで提供されるサービスの全ては既存で提供されていた価格を下げさせる結果になる。これは厳然たる事実なのでどうしょうもない。
自分がいた文具業界の話しをすると、数十年前にア○クルが業界に出てきた時に、アレを作った会社は代理店になるように文具店を回った。でも、みんなバカにして相手もしなかった。で、今見てみるとみんな文具店なんかで文具買わないわけ。おかげで文具店という業態自体が死にそうになってる。文具業界の中の人がどれだけわめこうが、便利だったり顧客のニーズを満たしている物が広まることを止める事はできないわけだ。世の中を見回すとそんな事例に溢れている。「文房具屋なんてどこにでもあるし滅んで当然」って思ったあなた、それは違う。世の中の文具屋のおやじたちはみんな「自分たちは特別で社会に役立つ仕事だ」って思ってたんだから。世の中で働いている人の多くはそんなことを考えて仕事をしている。あなたが考えている「特別」は単にあなたの好き嫌いではないですか?

だけど、普通に考えて、それが進展しまくって費用がタダになるなんてことはないだろう。
なぜって、アマチュアに仕事を頼むほど怖いことはないからだ。自分もライティングの仕事とミニコミの編集長両方をやっていて思うが、仕事を発注する側としてはまずは納期通りに原稿をあげてくれることが第一義なわけ。クオリティも重要だけど、まずは納期が大事。で、ボランティアみたいな仕事の場合、そこがまず怪しいわけでしょ。こちらも対価を払っていないのでそんなに強くは言えない。それに、守秘義務のリスクや、炎上時の対応などなど、リスクを挙げればきりがない。
ということで、「ビジネス」として回そうとしたら金がかかるものに関しては金を払うしかない。大事な仕事であればある程、信頼のおけるまともな業者に頼むしかない。だからプロとアマの違いがなくなるなんていう話は与太話の類いでしかない。だからそんなことぐじぐじ議論する前に原稿の一本でもあげろよという話しになる。
ただ、さっきも書いたとおり、単価がどう考えても下がる傾向にあるのでそれはどうしましょうかねぇという話ではある。つまり「ビジネス」として回すとしたらいくら払うのか、1000円なのか10,000円なのか、っていうのは常に下がる圧力が働いているという事は肝に銘じておいた方がいい。

ということでナナピの滅亡を祈念しております(切込隊長風シメ)