「ケータイ小説的。」が相当面白い。
- 作者: 速水健朗
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2008/06/09
- メディア: 単行本
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速水健朗氏の超弩級巨弾単著の「ケータイ小説的。」を読了しました。
面白い。とりあえず、はてな論壇とかいって遊んでる人たちはみんな買っとけ、と煽っておきます。
ここで描かれているのは、語られなかった(もしくは意図的に軽視されてきた)90年代〜ゼロ年代文化史です。つまり、ヤンキーだったり、あゆ様だったり、リストカットだったり、郊外の文化だったり。
そういった事象を「土着民としてのヤンキー(DQNではない!)」と「ケータイ小説」を中心に据えて語ることで、すっきりと理解できます。今まで、なんとなく感じていたことが言語化されていてとても面白いと思います。
そして、ケータイ小説の「リアル」についても触れられているんですが、そこで引き合いに出されるのは佐々木俊尚の例のCENTJapanのエントリ(ソーシャルメディアとしてのケータイ小説:佐々木俊尚 ジャーナリストの視点 - CNET Japan)なんですが、本単著の中で展開される論理は是非読んでみて確認していただきたいのですが、もう少し意外かつ視野の広いもので、とても面白い。
多分、本単著のモチーフって前単著の「自分探しが止まらない」と対照的でありながら問題意識は近いものであると思う。つまり、セットで読むと多分より面白いと思います。で、ケータイ小説のリアルを巡る話はやはりとても興味を引かれるものではあるけれども、望むべきはケータイ小説の「リアル」(それは多分ヤンキー世界だ)と他のリアルとの衝突、みたいな話が私は読みたかった。
ともかく、それをこれだけキャッチーかつ説得力をもって書ける、というのはやはり、それなりに大変だったろうと思います。
ただ、一つだけちょっと納得できなかったのは、あとがきのところです。ヤンキー文化が論壇的な賞賛を得ていないのは間違いないですし、ヤンキー文化に光を!というご意見はわかりますが、それって必要なことだろうかとちょっと考えます。私はライトノベルもケータイ小説もほとんど読まないのですが、別に売れてれば論壇の評価なんてよくない?と思います。
論壇の堅苦しさに対してそういう事をおっしゃっているのかどうなのか微妙なのでなんともいえないですが。
難しいですね。