古田ラジオの日記「Welcome To Madchester」

フリーライター・婚活ライター・婚活アナリスト、古田ラジオのブログです。

今日の本

新宿の紀伊国屋書店で「健康帝国ナチス」という本を立ち読みしました。
ナチスっていうとホロコーストとかしてる史上最悪の極悪集団っていうイメージだろうけど、実は国民の福祉とかに非常に心を砕いた*1政権なんです。で、今回はその中でも健康政策、とりわけがんとの戦いについて書いてあります。この本によるとナチスは当時の世界の国々で一番がん予防に力を入れてたんだそうです。禁煙の推奨、がんの定期健診の実施などなど。でも、これでナチスはいいこともしてたっていうことでもないだろう。むしろ私はナチスの政策は一貫してると思った。
つまり、純潔さをよしとするというか、国家の側で国民の内面/外面を無理矢理にでも作ろうっていう発想がナチ的だと思うわけです。健康=善っていうのはいかにも正しいような気がするけど、実は別に正しくともなんともない。本当に私達が自由なら不健康な代わりに(タバコすったり、高カロリー食品を食べまくるなど)自分の好きなことをする自由もあるはず。こういう「ドイツ民族は健康でなければならない!」っていう考えは「ドイツ民族はワーグナーを聞かなければならない」、「現代美術など見てはならない」っていう考えと地続きで、さらに「ドイツ民族はアーリヤ人でなければならない」ってのにも容易に繋がります。
で、私は何が言いたいのかっていうと、ナチスのこの考え方ってなんかに似てませんか?そう、昨日東京都科学館に出てた「ゲームする奴は内行的」っていうあれ*2です。あれも、ゲーム=悪、外での遊び=善っていう考えの元に作り出されてるわけでしょ?これは思考の道筋としては健康=善、不健康(喫煙など)=悪っていうのとほぼ同じなんではないでしょうか。科学館に出てたあれがいかにも科学的な検証にのっとって行われたかのように見えるのも、ナチスもネオダーウィニズムっていう似非科学によっていかにも正しそうに見えたのとそっくりです。例え、それらの似非科学が全く正しかったとしても、私達にはゲームをやる権利というか自由*3があるはずなのに。
結局、新しいナチスは小林よしのりからではなく、「子供にはこうすべき」、「いい大人ならこうすべき」とかすぐ言い出すPTAや週刊文春・新潮から生まれるのだっていうのは肝に銘じておいたほうがいいですね。

*1:アウトバーンしかり、ヒトラーユーゲントしかり、映画作りしかり。

*2:詳しくは昨日の日記参照

*3:あまりこういう言葉は使いたくないのだが