大塚英志の感想
さて、今日は先日もお話したとうり大塚英志「物語消滅論」の感想です。
この本の話の内容は、
・物語の創作・消費のあり方の変容
・コンピューターによる新しい物語創作のあり方
・進化論的なイデオロギーから説話論的なイデオロギーへ
・私語りの変容
・文学の擁護
・舞城王太郎の悪口
一応、こんな感じです。
これ読んだ時点でもうなんかうっとおしいなって思った方、ご安心ください。こんな事は理解できなくても全く問題ありません。私もわかりませんでしたし。要は、この本で何がいいたいかっていうと、作者の半ば逆ギレ気味の自らによる自分の仕事の解説なんですから。
この本を読んでいるとあぁ、このおっさん文学が好きなんだなぁってしみじみとした気分になります。もしかしたら今日本でこの人だけなんじゃないでしょうか?ここまでマジメに文学の事を考えている人は。だからこそ自分でヒールを買って出て*1「ブンガクなんて不良債権だ!」って言って文壇の人らを挑発して、でも無視されて、しょうがなく「そんなこと言ったって、文学はまだまだ大切だよね。ほら、文学はこうすればまだまだ使えるよね」なんていって自分に対する反論を書いている。でも多分また文壇からは無視されるんだろうなぁ。
あと、この方、メインカルチャー/サブカルチャー→文学/ブンガクの線引きにこだわってます。これは自分が文壇ではアウトサイダー*2だからこそよけいになんでしょう。そういう問題意識は非常によくわかるんですが、今、文学にしてもブンガクにしてもそんなに一般人に影響を与える存在ではないし、文壇自体がそんな区別なんてどうでもよくて「商売になればいいや」って考えのような気がする。女性誌なんかでよく登場する、「恋愛の神様」なんてモロそういう感じでしょう*3。
なんだか微笑ましいような悲しいような、読み終わるとそんな気分になります。