ボーイズ・オン・ザ・ラン全肯定!!
- 作者: 花沢健吾
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2006/03/30
- メディア: コミック
- 購入: 5人 クリック: 185回
- この商品を含むブログ (60件) を見る
私が月曜日に何を楽しみにしているかっていって、スピリッツにて連載中の「ボーイズ・オン・ザ・ラン」なわけです。花沢健吾先生といえば、有名なのは「ルサンチマン」だと思うんですが、私の中ではルサンチマンよりも上ですね。ルサンチマンはああいう内容のものが、大メジャー雑誌であるスピリッツに載るということが快挙であり、その功績については強調しすぎることはないとは思うのですが、結局、オタク*1のための福音でしかないんですよね。いわゆるCクラス界はもちろん、オタクだけなわけで、ルサンチマンや電波男では救えないCクラスというのが数多くいるということは、すでに数多くの人たちが指摘してきたことであるわけです。
そして、ボーイズ・オン・ザ・ランはそんなCクラスに向けられたマンガだと思います。
とにかく、ダメなんですよね。仕事にしても恋愛にしてもめちゃめちゃヘタレで、上手くいきそうでいつも失敗する。それがとてもCクラス的であり、私が共感できる部分です。
ところが、ボーイズ・オン・ザ・ランの主人公=田西は鯛男(女にモテようとしている)だからダメだという人もいるかもしれません。でも、そうじゃないんですよね。田西は鯛男ですらない。会社で好きな女の子がいて、その子のために努力する、そこが鯛男だと切り捨てることは簡単ですが、実は違います。田西が彼女のためにダイエットしようと決心しようとして、少しだけ走ってその苦しさと、夕食が手羽先だったためにダイエットを断念するって言うエピソードがあって、これこそCクラスだなぁと思うんです。よく、鯛男VS喪男っていうアングルがウェブの世界では語られる訳ですが、むしろどちらにも決心できないCクラスっていうのもいるんではないかと。そんな簡単に割り切れずに鯛男と喪男の間を簡単な理由であっち行ったりこっち行ったりする、それが私はリアルだと思うんです。そして、私の人生の主人公である私を置いて周りの人生だけが進展していく*2という疎外感。これこそがCクラスのリアルだと思うんです。
鯛男にすらなれない私たちへの挽歌、それがボーイズ・オン・ザ・ラン。克目して見よ!
*1:ここでは、いわゆる萌えオタクの事をオタクと呼んでいます。
*2:ボーイズ・オン・ザ・ランでは同期の元ヤンキーや憧れの女子社員はいろいろしていくのに、田西だけは相変わらず全く変らずダメダメなまま