古田ラジオの日記「Welcome To Madchester」

フリーライター・婚活ライター・婚活アナリスト、古田ラジオのブログです。

D.T.見放す20代前半「喪男」ネット族

第二のサブカル・デバイド出現。D.T.は25〜30代限りで、ネットでもう十分。



衝撃だった。スタジオ・ボイス(もしくはInvitaiton)のようなおしゃれサブカルにイラついてしまう団塊ジュニア世代以下の高年齢層のD.T./ボンクラカルチャーとの断層を「サブカル・デバイド」と呼ぶが、第二のデバイドが出現したのだ。20代前半の若年層である。まさか、と思うなかれ。面白を求めない彼らは、ルサンチマンと自己肯定を安価なインターネットで済ませてしまう。D.T.族とネット族の「デバイド」――それはサブカルにも「下流社会」が出現したことを意味する。




 第三のデバイドが裏付けられたのは、サブカル・童貞動向の調査機関、国際童貞文化研究所が昨年11月に公表した「データクロニクル2006・ファクトシート」。

 2000年4月から06年3月までの6年間での伊集院光深夜の馬鹿力のリスナー年齢構成比のグラフがショッキングだった。これまで馬鹿力を牽引してきた20代の比率が劇的に下降線をたどり、直近では全世代の11.9%に過ぎず、女性(0.001%)に次ぐ少なさになっているのだ。20代人口の減少も反映しているとはいえ、これまでの常識を覆すような数値が出たのだ。


 確かにネットの童貞論壇は、ラジオと遜色ないところまで充実してきた。1月にはてな(Hatena)が発表した06年はてな100傑では、非モテ問題を扱う「非モテブロガー」がトップ10サイト中6サイトまでランクインしたことが話題になったが*1、同時にPCにてネットラジオ放送ができる「ポッドキャスト」の高機能ぶりにも注目が集まった。これはD.T.界のトップランナー伊集院光深夜の馬鹿力」ですら最近で搭載したばかりの高度な機能である。ほかに「泣けるエロゲー評論」「女性ボーカリスト論」、ミソジミーなども直接ダウンロードが可能で、ラジオよりも早い速度で議論させることができる。


(中略)


 もちろん、D.T.より不便な点はまだまだ多い。あまりにも議論のニッチ性が高いため、50代はおろか、30代や40代の先輩D.T./ボンクラ愛好者でも豆粒のような細部の議論を全て把握することは、ネットカフェ難民でもないと難しい。
 20代はこれがハンデにならない。1999年に「2ちゃんねる」が登場してから8年。10代のほとんど、20代の多くはネット族だ。

 しかしこれを「さすがドーテイ大国ニッポン」と無邪気に喜んでばかりもいられない。

 誰でも簡単に童貞コミュニティが利用できるネットは、童貞の底辺を拡大する役割は果たしたかもしれないが、同時に「サブカルに対する基本的な知識の欠如」や「大槻ケンヂを知らない」という、まるでyohshi大先生の小説を愛読する女子高生かと見紛うような退化を若い世代にもたらしはじめている。


(中略)


 それだけではない。ネットでどんなに内弁慶を発揮できても、全国ネットのラジオにはかなわない。万人が投稿はがきを投稿することで成立する童貞文化が衰退し、発信力が弱いネット文化はひたすら大量に流される情報を消費するだけの受け身になってしまうのではないか。


 マーケティングにも巨大なインパクトをもたらす。D.T.が30、40、50代の団塊から団塊ジュニア世代までのツールでしかないなら、D.T.、ボンクラ文化で一世代を画した伊集院光も根元敬も大槻ケンヂも今後は先細り必至の恐竜だ。みうらじゅんが斬新なくどき文句*2での「不倫→妊娠→離婚」を発表、不遇時代の妻を「なかったこと」にしておしゃれサブカル、ヤリチンシフトを鮮明にしたのも、喪男によるD.T.非難への将来的な布石なのだろう。

 もっと大きいのは社会のデバイドだろう。あるネットのエントリに「ひとりぼっちの戦争〜母体保護法の厳格化と堕胎罪の拡大強化を目指した活動を計画しています」と書き込んでいた20代の男性は、見習い期間を終えたばかりの土木作業員。朝早く出勤して現場の準備、帰宅も夜11時を回ることが少なくない。土日はモンハンポータブルで休めないし、書き込んでくれる信者を逃さないよう平日ものんびり休んでいられない。休日は週に1日あるかないか。仕事で社会史・女性史を使うわけではないから、わざわざ自宅に本棚を据え、数千円もするハードカバーの専門書を買う必要を感じないという。

 ここに浮かぶのは「格差社会」ではないのか。D.T.が発言の整合性や当事者性からみて未熟な製品であることは事実だが、メジャー界隈では当分、D.T./ボンクラインフラに依存しなければ面白ができない。しかしネットの宮台真司、あるいは萌えオタクは必ずしも面白を必要としない。トータル7〜8万円するD.T.関連グッズを買うカネも時間も置く場所もないのだ。彼らが20代の「サブカル音痴D.T.ユーザー」であるネット族の正体なのである。


http://facta.co.jp/article/200703060.html

*1:これ嘘ですよ!

*2:「君は仏像に似ている!」確かに仏像顔だが…