古田ラジオの日記「Welcome To Madchester」

フリーライター・婚活ライター・婚活アナリスト、古田ラジオのブログです。

我らの楽園

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そもそも、異文化コミュニケーションというのは何のことなのでしょうか。
「異文化」と「コミュニケーション」するといっても色々なフェーズがあります。


A:自分が異文化に溶け込む(異文化を理解する)
B:異文化を自分が属する文化規範に従わせる(異文化を征服する)
C:自分の利益と反しないものに関しては理解も征服もしない(無関心)


一般的に言って、Aの態度が取れれば非常に良いという事は明らかです。ところが、少し考えればわかる事ですが、「全ての異文化」を理解する事などほとんど不可能に近いでしょう。オタクでもDQNでもイスラム教でもなんでもいいのですが、その文化を理解しようとするためには多大なコストがかかります。皆がみAの態度を取れれば何の問題もないわけで、それができてれば苦労はしないでしょう。そこで、多くの人たちはBの態度を取ります。これがソフトな形が取れればそれはそれなりにエレガントな方法となります。つまり、ジャパニメーションのように。しかし、大抵の場合、そこで行われるのは、「○○を(お前も)認めろ!さもなくば・・・」という恫喝か、もしくは「○○は客観的に凄いんだよぉぉぉ」という咆哮かどちらかです。つまり、Bはよっぽど上手い方法をとらないと「イタく」なる、ということです。あなたは恐らく、周りの坂本真綾*1客観的凄さを力説する人々の恫喝や咆哮をあなたはもう聞き飽きているはずです。


カルロス・ゴーンはいうまでもなく日産のCEOだった人なんですが、彼の経歴を簡単にまとめてみるとこんな感じになります。
ブラジルにて誕生→レバノンで育つ→フランスで学生→ミシュラン→ルノー→日産
まぁミスター異文化コミュニケーションみたいな人なんですが、その人がルノーから日産に来た時に一緒に来た部下にいって聞かせていたのは、「自分達は日産を導く宣教師ではない」ということでした。逆に日産の文化については極力そのまま尊重し、会社の利害に反する部分だけを変更しました。つまり、BではなくCの方法を取ったという事ですね。

カルロス・ゴーン経営を語る (日経ビジネス人文庫)

カルロス・ゴーン経営を語る (日経ビジネス人文庫)


Aが難しい、Bは一番最悪、となると取れる方法はCしかないわけです。異文化コミュニケーションで一番実効性が高そうな解決策がどうやら「無関心」でしかない、という事です。もちろん、あなたに余裕があるのなら隣のサブカルの趣味を理解してみようとしてみてもいいでしょうが。
そして、インターネットは今後「無関心」をどんどん促進していくでしょう。インターネットによって、かなり小さなコミュニティでも成り立つ事が許され*2、私達(っていっちゃうけど)は島宇宙化した小さなコミュニティに属する事になります。そしてそのコミュニティにとって都合の良い情報だけを入手する事になります。
それは一般に言われているほど恐らく悪い事ではないだろうと思われます。つまり、「誰とも繋がれない」事によってリアルに対して絶望するよりはきっとずっと良い事だと私には思われます。


異文化コミュニケーションが不毛であるという認識が共有化されたとき、私達は理想のユートピアへの扉の前に立つ事になります。ただし、「私達がもっと自己中心的に振舞った」結果、「このバンドの素晴らしさを他の人たちにも伝えなければならない!」という意見によって楽園は崩壊するのだけど。

*1:アスキーアートですよ

*2:非モテ」だってそういう要素は強いでしょ。リアルで知り合う友達に「非モテ」なんて大して数いないけどネットに行けば・・・