フラット化する企業家2.0
- 作者: 佐々木俊尚
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2007/11/28
- メディア: 単行本
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佐々木俊尚「起業家2.0」のお話。
http://yokyom.com/web2_0/
↑お試し読みができます。
まず最初に書いておくとすごく面白かったし、読んでいると割と「希望」やら「やる気」やらという前向きワードが出てくる本ではある。
ただ、佐々木さんのアングルの作り方というのは、なかなかに恣意的だ。
「Web2.0ではあらゆるパラダイムシフトが起こり、俺たちは新人類誕生のきざはしにいる」
いささか誇張した形になってしまうけれども、簡単に言うとこの「いつものアレ」の補強材としてそのアングルはある。そのアングルは皮膚感覚として非常にわかりやすいところがあるのがすごいところでもあるし、微妙なところだとも思うのだけれど。
だけど、問題はあの本に出ている人のほとんどはエスタブリッシュメントであり、Web2.0なんかなくたって別にそこそこ成功していたであろうということだ。
Webがなければ確かに起業はしていなかったかもしれないし、マスコミの寵児ではなかったかもしれない、それでも意外とそこそこに恵まれている生活をしているんじゃないか。ホリエモン世代とは違うという煽りを入れてみても…現に「草食獣」や「第三世代*1」という表現から首をかしげざるをえないような人も登場しているわけだし(例外中の例外が家入さんか)。
その意味で、この指摘は全くもって正しい。
多分、「うぇぶにーてんぜろがろんぐてーるでうんぬん」みたいな煽りをしたところで、相変わらず電車は混むし、お腹はすくし、既得権側の人間は元気に既得権を確保しつづけるだろう。もちろん「これに乗ると儲かるぞ/いいことがあるぞ」という人は必要だ。そうしないと人は集まらないのだから。
でも、それだけではダメだろうと私は思う。それだけを言い続けたのが「第二世代」で「第二世代」の「アレな感じ」っていうのはそれだけだったからじゃないのか。
ただ、人一人の人生を変えたり可能性を切り開いたりする力が(使いようによっては)あることは私はわりと無邪気に信じている。ただ、それがエスタブリッシュメントたちだけのものなのか、本来はそこからこぼれ落ちてしまうような人間に向けたものであるのか。
私は後者だと思っているし、そうあるべきだと考えているのだけれど、佐々木さんはどう考えているのだろうか。
その意味で「フラット革命」と合わせて読むべきであろう一冊。
- 作者: 佐々木俊尚
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/08/07
- メディア: 単行本
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