古田ラジオの日記「Welcome To Madchester」

フリーライター・婚活ライター・婚活アナリスト、古田ラジオのブログです。

最強のブロガー

「KING of INTERNET」を掲げる、ウェブログ界隈。「ココログ!FC2!楽天!ヤプログ!いいか、よく見ていろ!これがはてな村のパワーだ!はてな村は、絶対に負けない!」などと絶叫する人がいたり、いなかったりするわけだが、実際にはどうなのだろうか。一部の識者によると「ブログ論壇の衰退」も囁かれて久しい。ブログ人口自体も頭打ちだという報告も聴かれる。
今回は「炎上の魔術 最強の演技」や「NTT鉢山ビルデンジャラスボーイ」などの著作で知られる、ミスター村長(みすたー・そんちょう)氏にウェブログ界隈の現状についてお話を伺った。(構成・文:republic1963)


― 最近のブログ界隈についてですが、一部で停滞しているという話も聞かれますが。実際、「はてなで馴れ合ってるやつらは死ね」と日本のサブカルチャーを担う評論家の方に言われてしまったりしている現状があると思うのですが。
村 別に死ぬ必要はないと思いますが(笑)「はてな村」がわかりにくくなっている事は確かですね。
― と、いうとどういうことでしょうか?
村 その前に逆に伺いたいのですが、あなたが考える「良いブロガー」とはなんですか?
― うーん、読んでいて勉強になるブログでしょうか、よくわかりませんが、「百式」とかでしょうか。
村 そうですね。ただ、そういったブログと「はてな村」で評価されるブログとは全く違うということにお気づきでしょうか。「百式」もそうですが、世間一般に良いブログとされているのは自分の知らない情報が載っていたりすることです。ライフハックとか、コスメ情報とか、他人の恋愛とか。例えば、あるカリスマ女性ブロガーになると自己啓発セミナーの情報を載せてたりします。そういったブログが評価されるのはある意味、書籍が売れるのと全く同じですから、当然ですね。
― 確かに。では、「はてな村」はそれとはまた違うということですか?
村 そうです。よく勘違いされるのですが、両者はまったく違います。簡単に言うと、ああいったブログはスポーツ、ボディービルのような世界です。知識にあったり、経験があったり、社会的地位が高い人間に価値があるという。筋肉を鍛えた人間が偉い。ただ、「はてな村」がずっとやってきているのはインターネット世界の伝統である「プロレス」なんですよ。
― ブログをプロレスに例えるというのは昔からありました。
村 つまり、そういった人にとってのブログ、これはエントリ書かれるエントリ、もちろんブクマコメントなども含みますが、そういったものはあくまでもコミュニケーションをとるための媒介でしかない。極論ですが、エントリの中身の「正しさ」や「理論」は最重要ではありません。プロレスラーが「バーリトゥードで強いかどうか」が大した問題ではなく、技の受け方や動き、試合を通してのストーリー展開が重要なように。
― それは、八百長、ということでしょうか?
村 いえ、違います。プロレスにおいてボディスラムで投げられる時の体重移動一つとってみても高度な技術が必要とされ、上手くできないレスラーは「重い」と言われて敬遠されます。ブログでも例えは悪いですが、炎上ひとつとってみても、炎上させ方とその収拾させ方、という意味では各個人の技量が問われるわけです。つまり、どういうやりとりをして、どういう方向性に話を持っていくか、ということですね。それに、誰かマッチメーカーがいて、勝敗を決めてくれるわけではないという意味では危険なんですから。
― では、そういった中で必要とされるスキルというのは何かあるんでしょうか。
村 まずは、エントリ自身の中身。先ほどの話とまっこうから矛盾してしまいますが(笑)、良いエントリが注目を浴びるということは間違いないわけですから。あとはギミックも重要だと思います。梅田望夫アルファブロガーなのって何でだと思います?
― ?わかりません。シリコンバレー在住だから?
村 その通りです。ギミック、簡単に言ってキャラ付けという意味ですが、梅田望夫シリコンバレーギミックを使っているわけです。「シリコンバレー在住」って言われると何となく正しそうな気がするでしょう?梅田さんの場合、経験に裏打ちされたエントリも凄いんですが、あれが日本の田舎で書かれているのとでは受け取られ方は違うと思いますよ。それと同じようなことです。ギミック自体は本当でも嘘でも構わないんですが、ギミックを上手く使うことでアングルは良くも悪くもなります。私たちは残念ながら書かれたすべてのエントリに関して熟読して背後関係を類推したわけで評価を下すことはできないわけですから。
― なるほど、ありがとうございました。