古田ラジオの日記「Welcome To Madchester」

フリーライター・婚活ライター・婚活アナリスト、古田ラジオのブログです。

優しい非モテのための嬉遊曲

「承認」。人から認められることです。
「承認」の最低値=これ以下だとあなたは承認されていないという基準はどこにあるのでしょうか。「承認」を巡る話の困難さというのは、この問い集約されていると思います。
基本的に、個人の欲求には際限がありません。「承認の最低値=最低承認値」がAさんにとっては「はてブホッテントリとること」だとします。これは、「真面目に取り組んでエントリを作れば、おそらくホッテントリぐらいは簡単に作れる」かもしれません*1。ただ、他のBさんにも同じ内容が適用できるとは限りません。Bさんはもしかしたら「講談社BOXで1万部デビュー」しないと承認されたことにならないかもしれません。つまり、「最低承認値」が人によって違う(そもそも同じ人でも、20歳の時と25歳の時では最低承認値も変わる)以上、それをめぐる問題というのは基本的に平行線をたどり続けます。
つまり、なぜ僕は認められないんだろう→お前は恵まれている!の黄金コンボがいつまでも通用し続けるセカイ。一方で、何の才能もないけど最低承認値だけが高い人=なぜ僕はパンドラでデビューできないんだろう、小説書いたことないけど!みたいな人にどれだけ他の人は付き合えばいいのか、という問題も孕んでいます。最低の基準(の合意)がない限り、そういった承認「欲求」に対してだれも「望みすぎだ」とか「少なすぎる」とか言う事は基本的には難しいと思います*2


ただ、昔は承認の最低値がある程度決められていました。それが、「結婚して、まともな仕事(=正社員)をする」というものです。所謂「普通の小市民的生活」。これが最低限クリアすべきハードルとして各人に課せられる。どちらか片一方しかない人にはどこからともなく「おせっかい*3」が現れて欠けた方が埋められ*4、最低限の基準をクリアしたところで「大人」という最低限の(コミュニティからの)承認が与えられます。だけど、それが何らかの理由でできない人間には後ろ指が差され続ける事になります。今でも田舎に行くとわかりますが、その手の生活を送れ、という圧力は今でも結構強いと思います。
ところが、その二つ=結婚と安定した仕事がどちらとも、非常に手に入りづらくなっています。それには色々な理由がありますが、ともかく最低のハードルさえクリアできない人が続出することになります。
ここに、「非モテ」が「承認」の問題と一緒に語られる理由があります。
つまり、「非モテ」とは最低承認値が貰えるハードルを下げろ、もしくは、達成できなくてもお互い「承認」し合おうぜという主張だと言えます。そして、「非モテ」を解決する有効なソリューションの一つが「仕事する」なのもこれで説明がつくと思います。つまり、「最低限の承認」を得るために必要なのが結婚である以上、仕事で成果を出すことができて「承認」されれば、結婚というのは個人的な寂しさの問題*5になります。少なくとも、「恋愛ができないこと」が「生きづらさ」に直結する事はないと思います。


ところで、これらの「承認」に関する問題を一挙に解決する方法があります。それは、宗教です。
世界中の誰からも「承認」を得られなかったとしても、自らの内なる神が承認してくれる。
これこそが承認のベーシックインカムではないのでしょうか。だけど、それが得られたとして、人はそれに満足し続ける事が可能なのでしょうか。

*1:もう知る人も少ないネタ

*2:不可能ではない。8割ぐらいの人が明らかに望みすぎだとか、明らかに少ないとか思うような事例はある

*3:みのさんではない

*4:「いい歳なんだから…」とお見合いおばさんが現れたり、「身も固めた事だし…」と知り合いの社長が就職を世話してくれたり

*5:これだって大問題だけど