古田ラジオの日記「Welcome To Madchester」

フリーライター・婚活ライター・婚活アナリスト、古田ラジオのブログです。

書籍JANコードでamazon、e託サービスを利用する

お断り:こちらのエントリの情報は、現時点(2010年12月16日時点)での情報です。別の情報、私の認識違い等があれば情報共有の意味もあり、是非教えていただければ本エントリで逐次更新していきます。


承前:http://d.hatena.ne.jp/republic1963/20101108#p2


奇刊クリルタイでは、『dorj』をamazonで販売しているのはすでにご報告した通りですが、

奇刊クリルタイ増刊「dorj」

奇刊クリルタイ増刊「dorj」


今回、クリルタイシリーズとして『奇刊クリルタイ5.0』と『奇刊クリルタイ4.0』を予約販売中です。

奇刊クリルタイ5.0

奇刊クリルタイ5.0


奇刊クリルタイ4.0

奇刊クリルタイ4.0


(告知:クリルタイ5.0は12/20、4.0は1/10の発売予定です。何卒よろしくお願いいたします!)
ですが、両者は微妙に違っており、『奇刊クリルタイ5.0』はISBNコード、『4.0』はJANコード(書籍JANコード)を使って登録を行っております。これは、「密林社*1」様等でJANコードを使った書籍の登録をおこなっているとの話を文学フリマで伺ったためです。実際、amazonでは書籍情報の登録は「ISBNコードもしくはJANコードで登録できる」とe託サービスのHP上に書かれていますし、「JANコードでamazonに書籍登録ができる」との情報は多くの方に信じられているようです。ですが、これは本当なのでしょうか?


ここで、JANコード(書籍JANコード)と呼ばれているものは一体なんでしょうか?「社団法人流通システム開発センター」の情報によると、書籍JANコードとは、出版物用に使われるJANコードであり、2段のバーコードで構成されています。
http://www.dsri.jp/code/jan_book.htm
1段目は「978」から始まる国際標準コードのISBN(International Standard Book Numbering)用バーコード、2段目は、日本独自の図書分類と税抜き本体価格で構成されるバーコードを指します。つまり、書籍JANコードとは、
1段目978で始まる13桁
978(書籍記号)+4(国番号)+ISBN(出版社記号=出している出版社によって違う)+書名記号(4桁)+チェック数字

2段目192で始まる13桁
192(固定)+分類記号(4桁)+本体価格(5桁)+チェック数字
という2段で構成されています。


ぐだぐだ書きましたが、重要なのは、
1段目…ISBNコードが必要
2段目…ISBNコードは不要
ということです。
つまり、書籍JANコードの1段目とISBNコードは実質同じことであり、問題は2段目の情報のみでamazonに登録ができるのかということになります。で、結論から言うとこれはできません。amazonのe託ヘルプにも確認しましたが、amazonのe託サービスで受け付けているJANコードは9784スタートのコードのみとの事です。当たり前の話ですが、書籍JANコードの2段目だけでは分類(これは、「一般向け-文学」みたいなくくりです)と売価が全く同じ書籍が出てきた時に対応が取れないわけですから、登録できないのは当たり前といえば当たり前です。
http://www2.jbpa.or.jp/login.html
一方で、日本書籍出版協会データベースセンターへの登録は必須ではないようです。今回「クリルタイ4.0」に関してはデータベースセンターにはまだ登録していません。ISBNコードを取得した時点で送られてくる書類を使う事で、ISBNコードを割り振る事はすぐできますが、その時点でamazonには登録可能なようです。ただし、データベースセンターに登録しなかった場合、あるISBNコードが使われているかどうかを調べるすべがない(と思う)ので、amazon以外の書店でISBNコードを使って書籍を仕入れたり、検索したりすることはできないのではないかと思われます。


ここまでの話をまとめます。
・書籍JANコードとは2段でできている。そして1段目は実質ISBNコードと同じである(ISBNコードがないと使えない)
・amazonが言っている「登録可能なJANコード」とは書籍JANコードの1段目13桁の事である
・よって、amazonでe託販売サービスを使用するにはどちらにせよISBNコードの申請は必須
・amazonで売る事のみを考えたら日本書籍出版協会データベースセンターへの登録は必須ではない
・一般書店への流通(ジュンク堂紀伊國屋書店などミニコミ流通に積極的な大手書店はけっこうあります)を考えたらデータベースセンターに登録した方がいいかも


では、密林社様などがやっているサービスは一体なんでしょうか?密林社様取り扱いの同人誌で一番メジャーなのが「ホームセンターてんこ」だと思いますが、

ホームセンターてんこEX.(同人誌)

ホームセンターてんこEX.(同人誌)


該当のページを見てみると、「ASIN: B0041CRHHW」という記号がかいてあります。ASINコードとは、

「Amazon Standard Identification Number」の略で、Amazonグループが取り扱う、書籍以外の商品を識別する10桁の番号です。CD、DVD、ビデオ、ソフトウェア、ゲームなど、書籍以外の商品の詳細ページに記載されています。

http://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html?nodeId=747416 より抜粋)

となっています。
実際、クリルタイのシリーズは全て10桁と13桁のISBNコードが表示されていますが、密林社様経由で出したと思われるものには全てASINコードが付けられています。ちょっとこれはよくわかりません。あともう一つ問題があり、密林社様経由で出されたミニコミは全て「出版社:密林社」となっています。これは、ISBNコードを付与している以上、必ずそうしなければいけない(出版社記号=出版社=奥付けの出版者名でなければいけない)ものですが、これってよく考えると、なんか気が変わったりもっと良い内容のサービスができたりして密林社以外のサービスから委託販売しようとしてもできないってことなのでは?と思います。つまり、密林社以外から出そうとした場合、全く同じ内容の本が複数の出版社から出るという前代未聞の事態が発生します(ハックル大先生の「もしもなんとかかんとか」がダイヤモンドと小学館から出る、みたいな事になる)。で、それをamazonが許すだろうか?という疑問。


密林社様に代表されるamazon出品代行サービスを使う際の注意点は以下です。
・出版物は「代行業者が出版者」になる。もちろん作者としてはクレジットされる。
・簡単に代行業者を変わる事はできないのではないか?(さっき挙げたような事態が発生するため)
・というか、一度登録したら少なくともamazonで売る該当の本に関してはその業者を使い続けるしかない可能性すらある


まとめると、amazon出品代行業者がやっているのは単純な「委託販売」ではなく「出版代行」の方が近く、タコシェ模索舎のようなノリで代行業者を選ぶことは避けたい、という事です。そもそも、amazonからの納入依頼は1冊単位ということもあり、そこまでしてamazonに出品する必要はあるのかという疑問もわいてくるところです。

*1:http://www.mitsurin.com/