古田ラジオの日記「Welcome To Madchester」

フリーライター・婚活ライター・婚活アナリスト、古田ラジオのブログです。

「広義のDQN」と『ドロップ』

昨日配信の「メルマガクリルタイ」において「広義のDQN」という概念を取り上げた。「広義のDQN」とは、文字通り「DQN(≒ヤンキー)ではないがDQN的なライフスタイルを送る人々」の総称。地方や郊外の都市に大量にいる。

・地元が大好き。生活、どころか人生におけるほとんどの時間を地元ですごす。
・ある程度不良っぽいこともするが、その消費の仕方はあくまでカジュアル的である
・「ガンダム」や「エヴァンゲリオン」などをカジュアルに消費する
・愛車:4WD、ミニバン、軽(車高を低く改造)
・好きなマンガ:ワンピース
・主な余暇の過ごし方:川べりでのバーベキュー、スキー
・「仲間」が大好き
・岐阜生まれヒップホップ育ち、レゲエ育ち
・「仲間」同士で互いの恋人を紹介したりする
・彼女とのデート=家の中

彼らはヤンキーではない。だが、彼らは「DQN的」としか形容しようがない生活を送っている。というか、現在の地方都市において、ヤンキーというか、ヤンチャをしている人種はそれほど多くない。ヤンキーがダサいという認識は地方でも共有されており、私が子供のころ、公道で、あれほどかきならされていた「ゴッドファーザー愛のテーマ」も近年めっきり少なくなった。

「広義のDQN」とは、あらゆる文化のハイブリッドの場、いうなれば「文化のサラダボウル」である。「広義のDQN」に最も近い存在は、お笑い芸人の品川祐である。品川祐の佇まいとは、まごうことなきDQNのそれである*1。だが、品川はガンダムや鋼の錬金術師が好きだったりする。あらゆる文化をカジュアルに消費し、あらゆるクラスタを横断する存在、それが「広義のDQN」である。「広義のDQN」は色々なところにいる。例えばフジロックで、例えばコミケで、例えばコスプレ会場で。彼らにリーチする力を持ったコンテンツは強い。あらゆるヒットしたコンテンツは大なり小なり彼らにリーチし、彼らから支持を受けているのだ。郊外におけるパチンコ屋やTUTAYA、マンガ喫茶は彼らのコミュニケーションのための社交場、という側面を見逃してはならないだろう。
品川祐が作った映画『ドロップ』は我々のような存在からしたら最低の内容だが、『ドロップ』がなぜヒットしたのかというと、結局この「広義のDQN」感が極めてリアルなのではないのだろうか。『ドロップ』の主人公≒品川祐はヤンキーに憧れて私立中学から公立中学に転校するような「ヤンキーワナビー」だが、彼は、結局不良をファッション的に消費している。つまり、彼らが演じる「不良」とはあくまでも本気でないし、なんの痛みもないのだ(実際、彼らは劇中でどんな凶器で殴られてもピンピンしているし、どれだけとんでもない乱闘事件を起こしても何の御咎めもない)。「広義のDQN」とはあくまでもヤンキーを薄めた存在であり、本当に人生を踏み外すような事は、けしてない。そして『ドロップ』で中心に据えられているのはヤンキーたちとの「友情」である。


彼らこそが「田舎の普通の人」の一類型である。
・・・という内容をもうちょい掘り下げて次号メルマガで書くつもり。

*1:もっとも、マダム路子の息子という「有名人の子息」である品川がなぜ広義のDQNになったのかはよくわからないが