古田ラジオの日記「Welcome To Madchester」

フリーライター・婚活ライター・婚活アナリスト、古田ラジオのブログです。

クズメディアに「いい人」が集まる理由

『非モテ・ソラノート事件』関係者だから語れる、『非モテタイムズ』というサイトの内部事情 - だいちゃん.com

ウェブライターよ。なぜ君たちはこれほど文章がヘタなのか? | All About News Dig(オールアバウト ニュースディグ)

えがちゃんとか久しぶりに聞いたわけだが、ここで語られている内容が「どうしてクズメディアが発生するか」という理由の解説になっていて面白かった。

奇刊クリルタイ7.0

奇刊クリルタイ7.0

 

 私は『奇刊クリルタイ』というミニコミサークルを主宰していたりしていた。

一応今も活動していて今度の文学フリマにも参加する予定だったりする。

で、ミニコミ作りというのは自分を含めたメンバー全員にほとんどお金を払わないという意味では究極のローコストメディアになるわけだが、ローコストでメディアを運営しようとした場合、相手に対して納期・クオリティその他に関して厳格に対応することは「できない」。

 

なぜなら、原稿修正依頼や納期の厳密な管理を行った場合、原稿が納品されなかったり、最悪、メンバーが辞めるリスクが発生するからだ。

このメンバーが辞めるというのはミニコミ運営にとって一番ダメージがでかい。まず、穴埋めの人材をとらないといけないのと、平穏無事にいなくなってくれればいいのだが、ほぼ確実に、それに伴ってもめ事が発生するからだ。

「私が原稿をだせなかったのは編集長の無能のせいだ」とか

「彼の空回りにつきあうのも飽き飽きだよねー」とか

「編集長はあいつを優遇してる」とか 色々言われまくる。

クリルタイがこうだった、という意味ではなくあくまで例。

 

ちょっとしたクオリティを上げるために努力した結果のメリットと、

辞められたり、それに伴ってもめ事が起きたりするリスクを比べると、前者の方が圧倒的に小さい。

要するに、納期1日守らせたり、ちょっとしたてにおはを直させる代わりに「私が辞めたのは編集長の無能のせいだ!」みたいなこと言われるのと、そういったリスクは全てこっちが負って、何も言わないのとどっちがマシ?という話。

で、ほとんどのローコストメディアの編集長たちは後者を取ることになり、編集長の主要な業務は人間関係のトラブルをなくすことに注力される。

 

多くのローコストメディアの編集長の基本スタンスは「優しい」「怒らない」「納期に対して寛容」である。これは、その人がいい人なわけではなくて、それ以外やりようがないため発生する。言っても聞かないから「優しい」し、怒ると辞められるから「怒らない」原稿出してくれただけでいいから「納期に対して寛容」。

「楽しく!」「自由に!」というのもローコストメディアの十八番で、別に人格者でもなんでもなく、管理なんてできなくて、そうやって言っとくしかないからそう言ってるだけだ。「楽しく!」「自由に!」仕事してもらうことぐらいしか提供できる価値がないし、そうやって言っとけば自分が管理をしないことの理由になるからだ。

つまり、ライターへの発注コストを下げる代わりに、編集長は、「いい人」を演じ、「楽しく!」「自由に!」と言い続ける。その代わりに失われるのは管理とクオリティだ。ミニコミだったらそれでもいいが、商業メディアでそれをやったらヤバい。その「ヤバい」をやっているのが世にあまたあるクズメディアであり、非モテタイムズだった。

みんなから唾棄されるクズメディアの運営がけっこう「いい人」たちなのはそんな理由からきているのではないだろうか。

 

…ということで5月5日(月・祝)の文学フリマでます。ブースはオー20。

是非いらっしゃってください。