古田ラジオの日記「Welcome To Madchester」

フリーライター・婚活ライター・婚活アナリスト、古田ラジオのブログです。

記憶の扉

http://d.hatena.ne.jp/singijutu/20050227
より
昨日、singijutuさんとこで小4(だったかな?)の国語の教科書に出ていた「赤い実はじけた」が取り上げられていました。いや〜すげー懐かしい〜って思って読んでいたら、singijutu さんから、「赤い実〜」、「スーホの白い馬」、「スイミー」、「くじらぐも」が「トラウマ教科書4天王」だとコメントをいただきました。そういやぁ「スーホ」は悲しい話だったよなあ…などと感慨深げにしていたんですが、私も記憶の扉が開きました。そういや、「ごんぎつね」があったよ。私としては「ごんぎつね」も4天王に入れていただきたい!
D.T.版ごんぎつね

ごんは、フリートークがすむまで、井戸のそばにしゃがんでいました。兵十と加助は、またいっしょにかえっていきます。ごんはふたりの話をきこうと思って、ついていきました。兵十のかげぼうしをふみふみいきました。

TBSラジオの前まできたとき、加助がいいだしました。

「さっきの話は、きっと、そりゃあ、ウソ彼女のしわざだ。」

「えっ!」

と、兵十はびっくりして、加助の顔を見ました。

「おれは、あれからずっと考えていたが、どうも、そりゃ、童貞じゃない、ウソ彼女だ。ウソ彼女が、おまえがたったひとりで30歳になったのを、あわれに思わっしゃって、いろんなものをめぐんでくださるんだよ。」

「そうかなあ。」

「そうだとも。だから、まい日、ウソ彼女におれいをいうがいいよ。」

「うん。」

ごんは、「へえ、こいつはつまらないな。」と、思いました。

「おれが、エロ本やエロテープをもっていってやるのに、そのおれにはおれいをいわないで、ウソ彼女におれいをいうんじゃ、おれは、ひきあわないなあ。」

そのあくる日も、ごんは、エロ本をもって、兵十の家へ出かけました。兵十は物置でギャグボールをなっていました。それで、ごんは、家のうら口から、こっそり中へはいりました。

そのとき兵十は、ふと顔をあげました。と、きつねが家の中へはいったではありませんか。こないだ、大山のぶ代のサインをぬすみやがったあのごんぎつねめが、またいたずらをしにきたな。

「ようし。」

兵十は立ちあがって、納屋にかけてあるキャバクラの割引券をとって、火薬をつめました。そして、足音をしのばせて近よって、いま戸口を出ようとするごんを、ドンと、うちました。

ごんは、ぱたりとたおれました。兵十はかけよってきました。家の中を見ると、土間にエロ本がかためておいてあるのが、目につきました。

「おや。」

と、兵十は、びっくりして、ごんに目をおとしました。

「ごん、おまえだったのか、いつも、エロ本をくれたのは。」

ごんは、ぐったり目をつぶったまま、うなずきました。

兵十はキャバクラの割引券を、ばたりと、とり落としました。青いけむりが、まだ、つつぐちからほそく出ていました。



…うわぁぁん!何で死んじゃうんだ、ごん〜!でも、ごんはどこからエロ本を手に入れてきたのだろうか?ってか、作者の「新美南吉」って誰?