古田ラジオの日記「Welcome To Madchester」

フリーライター・婚活ライター・婚活アナリスト、古田ラジオのブログです。

佐々木氏が怒る前に新聞はもう詰んでるんじゃないか?

http://japan.cnet.com/blog/sasaki/2009/08/17/entry_27024384/
まず、全力で同意したいのはこちらのくだり。

 こんなバカげた話を書いている元雑誌編集者が、日本のメディア業界では「ネットのことがよくわかっていて、われわれの行き先を指し示すことができる数少ない人」として尊敬されているのである。だから日本のメディア業界は絶望的なのだ。

あの元木昌彦氏が笑い物になるならまだしも、『「ネットのことがよくわかっていて、われわれの行き先を指し示すことができる数少ない人」』として本当にメディア業界で扱われているとしたら、苦笑を通り過ぎて、リテラシーの高さに敬服するしかありません。


それはそれとして。「記者クラブという既得権を使ってニュースを有料化する」という話ですが、そんなことやっても意味なくないか?という風に思いました。
どういうことかというと、記者クラブというのは、官公庁や警察、政党などからクラブの会員が独占的に情報提供うけるものだと思っているのですが、官公庁とか警察からしてみたら、その情報がそのまま国民に開示されるとは限らないわけです。記者に都合よく解釈されることが結構ある。よく言われる偏向報道というやつですね。
そうすると、記事の配信側の考えとして、「自分たちで記事書くor記者会見を動画配信する方が早くねぇか?」という結論に達するのではないでしょうか。もしくは「元から有料なら自分らで書いた記事をヤフーかマイクロソフトに配信した方が儲かるんじゃね?」ということになるんではないでしょうか。
全ての組織から配信される記事を見るのは面倒?
そういう人のためには「記事のまとめサイト」ができるんではないか。
もしくは「Web2.0の奇跡こと、はてなブックマーク」で代用する。
そもそも、記者クラブは基本的に「組織側の会見」である以上、そこで出てくる情報というのはその組織に都合の悪いものというのはでてこないのは容易に想像がつきます。
そもそも新聞というメディアは0円の情報(65歳主婦の愚痴なんか誰も見たくねぇよ)から10,000円の情報(大スクープ!)まで全部まとめて140円なり120円なりの価格で届けるというメディアでした。
「ネットのことがよくわかっていて、われわれの行き先を指し示すことができる数少ない人」こと元木氏が決定的におかしいのは、全ての情報に価値があると言っていることです。「組織側の会見」にいくらの価値があるのか私にはわからないのですが、情報も商品である以上、情報によって価格が変わるのは当然だし、それは市場なり需要と供給によってきまるべきだと私は思います。0円の価値しかない情報に金を払わそうとするのは供給側の傲慢だし、「はてなダイアリーにでも書いとけ」ということになります。


結局のところ、「新聞」というメディアは「社会の木鐸」どころか単に「中間マージンとってるだけのところ」と思われていて、「記事有料化」というのはそれをさらに浮き彫りにするだけのような気がします。だから、「ネットのことがよくわかっていて、われわれの行き先を指し示すことができる数少ない人」の提案に対しては、「やりたければどうぞ」ということになるんではないでしょうか。どちらにせよ、もし新聞の中の人が本当に「ジャーナリスト」であれば「10,000円の情報」を配信する有料通信社として生き残ることができるわけですし。