婚活業者が規模だけを競う時代は終わった
今回はオタク婚活、料理婚活などの「趣味別婚活」を取り上げました。
このように、婚活業界が細分化していくのにはある理由があります。そもそも日本の婚活業界には3つの潮流があります。まずは、オーネットなどに代表される結婚相談所サービス系。これは往年のお見合いのビジネス版にあたります。
もうひとつが『ねるとん紅鯨団』の延長線上にあるパーティー系。業界再大手の「エクシオ」は実は1996年創業。つまり、すでに20年近い伝統のあるサービスなのです。
最後の一つがi-modeの登場以降、隆盛を誇った出会い系。出会い系はケータイベースの限りなくクロに近いグレーとしての出会い系と、ブラウザベースで大手が多数参入している出会い系サイトがありますが、最近はその辺の違いも大分なくなってきています。
で、パーティー系と出会い系に関しては実質上、フォーマットが決まっており、参加人数以上の差別化ができない状態にあります。
そもそも、婚活業界という業界には矛盾を抱えています。それは、配偶者紹介業というサービスの収益を最大化しようとした場合、如何にユーザー側に長く・回数を多くサービスを利用させるかにかかっています。つまり、必ずしも成婚させればいいというわけではない。
でも、フォーマットが同じなのですぐ飽きる。東京ではあまり問題にはならないですが、地方だとこれが「毎回参加する人間が同じ」ということになり、大きな問題になります。この矛盾点を解消するには2つしか方法はありません。
一つは、参加障壁をとにかく下げてできるだけ多くの人に参加してもらう事。これはomiaiなどが実施ている、facebookアカウントだけで登録可能→有料機能を使うには会員登録と本人確認が必要、という形式になります。この形式が優れているのは、登録障壁として面倒な入力を極力省けるようにしたことです。で、そのためになんか出会い系なのに「男性からのメッセージお断り」の女性みたいな妙な人が現れるわけですが。つねにアクティブユーザーを入れ替えて飽きさせない、これは方法の一つではあります。
もう一つは参加人数が多少減っても「新味」を加えること。要は趣味別婚活を企画することです。こちらは参加人数が減って、企画のコストが増えますが、その分ユーザーにとっては使いやすいサービスになるという意味でメリットがあります。ここで副次的にカップル率も上がれば言う事はない。
今後、出会い系とパーティー系の区別はますますなくなっていきます。それは、単純に考えて、両方を同時並行させたほうが効率がいいから。現にexcite恋愛結婚やアエルラではすでに両方のサービスを同時並行させています。では、ここでこれらのサイト群がどう分化していくかと言えば、恐らくomiai形式にするか、趣味別にするか、というところで区別がなされるのではないのでしょうか。つまり、すでに登録人数や規模を競う時代は終わったわけで、そんな中で「趣味別婚活」が注目されるのはしかたのないことなのです。
「誠」の連載は次回、最終回です。