クラウドソーシングがクソな理由2
こんな記事が出ていた。
アメーバ、ママ向けクラウドソーシングサービス「mama&crowdベータ版」スタート:MarkeZine(マーケジン)
以前、こんな記事を書いたのだが、なんだかんだでよく見られているっぽいのでその続きを書こうと思う。
500円で婚活記事を依頼してきた人
クラウドソーシングであまりいい思い出がない。
使い始めた最初のころに試しで応募したある案件(当然ながらそれも単価300円であった)では「実績のないやつは応募してくるな」と言われたり*1、1本100円で記事書けとか言われたり。
で、極めつけが表題の依頼をしてきた人物である。1本500円で婚活記事書けという本当に心が躍る依頼であった。
見積もり依頼をされたので、返信したらそれ以来、返信はこなかった。
あまりに心が躍ったのでその依頼文はスクリーンショットに保存し、たまに見返している。まさに終わりなき悲しみである。
当時はイラつきしかなかったわけだが、よくよく考えると多少趣が異なっている。
そもそも原稿料とは何に対してのものなのか
最近思うのだが、もうライターという職種はなくなってしまうのかもしれない。
いわゆる「100円ライター」の仕事が成り立つということは、そこに需要と供給が発生しているわけだ。
単価500円でどんなライティング仕事でも頼める(と思っている)ということは要するに、それで仕事を受ける人間がいる、ということを示している。
では、そうした記事と「文字の羅列」という意味では同じの、いわゆる「まっとうなメディア」に載る記事の違いとは一体なんだろうか。
これは自分も含めてだが、いわゆるwebライターという職種はすでにライターといいながら企画を立てて、媒体に持ち込み、取材(取材手配含む)取材の際にはカメラで撮影まで行う。、進行管理、改行の頻度、キャッチの付け方を工夫したうえで原稿が出来上がった後はWodpressで入稿する。
つまり、ライティングという業務の意味合いがどんどん拡張されており、その中でもこうした広義のディレクション能力の比重がどんどん高まっているのではないだろうか*2。
こうした仕事と「誰でもできる」「在宅でも勤務可!=取材しない」的な仕事との距離は今後はどんどん広がっていく。
だが、こうしたスキルが、果たしてクラウドソーシングで身につくのだろうか。
IT業界化するライター業界
自分が言いたいのは、要するにライターという「記事を作る」同じスキルを持っている人たちの中で、ディレクター色の強いライター(よくライターが対談に出てくるときに使われる謎の肩書「編集・ライター」みたいなもんだ)とライティングメインのライターという2分化がすでに始まっており、クラウドソーシングの隆盛はその時流に乗っている、ということだ。
これはあたかも、プログラマー、システムエンジニア、プロジェクトリーダーとか、フロントエンドエンジニア、うんちゃらエンジニアみたいな感じで職能やスキルで細かく細分化されるエンジニア業界のようなものだ。
同様にライターという業界自体がIT業界のように、出版社や大手ポータルサイトを頂点とするピラミッド型に垂直統合がより強化される過程、ということになる。
そして、個々のライターに対してはより上流工程の業務により高い対価が支払われる。
これはきわめて当たり前のことである。
だが、ここで問題となるのは、クラウドソーシングを続けることで「今は100円ライターでも、そのうちディレクション業務メインのライターにシフトチェンジできる」というキャリアプランを築けるか、ということなのだ。多くのクラウドソーシング擁護派の意見では、ここが適当に処理され、なんだかステップアップできる前提になっているのだが、これは本当なのだろうか。
恐らくこれは「あなたは日々更新されるクソアフィリエイトブログ(クソバイラルメディア)のクソ記事をだれが書いているのか気にして生きているのか」という問いによってわかるだろう。
つまり、クラウドソーシングが罪なのは単価が安いこと以上にキャリアプランができない工程業務を続けさせる、そしてその構造を固定化させることにあるのではないのだろうか。
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