『AERA』が嫌婚特集を組んだ理由を邪推する
『AERA』の嫌婚特集を読みました。
日本代表DFへのネガキャンとしか思えない表紙…。
ご存じの方も多いかと思いますが、婚活という言葉が初めて登場したのが『AERA』だったので、このあたり非常に感慨深いものがあります。
内容としてはいつも通りの内容で、いつも通りの識者がいつも通りの結論を述べている感じで非常に安定感がありました。
個人的に面白かったのは恐らく仮想敵であろう高スペック男子の座談会にて、
「自分でケーキを焼く」みたいなことを言っている参加者が、キッチンの水回りの汚れがどうとか言ってたんですが、とっとと自分で掃除しろよと。
この一文を読み、大変ほっこりとした気分になり、自分の中での「独身で料理が趣味とかいう男は要注意」説がより強まりました。
で。
『AERA』が嫌婚特集を組んだ理由みたいなもの
『AERA』っつったら 婚活の生みの親、母なる大地なわけですが、
なんで嫌婚特集を組んだんでしょうか。
ま、それこそ「いつも通りの内容で、いつも通りの識者がいつも通りの結論を述べている」という一言に象徴されるように、読者層が入れ替わらず読者の年齢だけが上がっていくという、「ここんとこずっとOasis、Radiohead、Nirvanaが表紙なロキノン問題」がこの「雑誌界のサンデーモーニング」こと『AERA』でも進行中なのではないか、などと思うわけですが、
邪推するに、自分たちが婚活市場で全然見向きがされないっていうことに気が付いてしまったからではないんでしょうか。
実は、婚活業界というのは、人材業界に非常によく似ています。
例えば…
◎新卒市場と転職市場がある:婚活も、新卒市場(大学で知り合った相手と社会人数年で結婚する市場)と転職市場(30代ぐらいで結婚相手を探す市場)があります。
◎年齢が非常に重要:両方とも35~40過ぎると一気にニーズがなくなる
◎設定されているサービスがほぼ同じ:求人広告(=婚活サイト)、エージェント(=結婚相談所)、コネ・人脈(=お見合い)、合同就職フェア(=街コン)
◎入社するまでわからない:婚活も結婚するまでわからない。結婚してすぐ離婚する人もいる
ということは、婚活業界も人材業界と同じく「双方のニーズ」が非常に重要になるわけです。
ところで、人は婚活をどうしてするのでしょうか。
自分が未婚・既婚含めていろんな人に話を聞いた結果、次の3つに分類できると思います。
★「キャリア総取り」の一環として:「仕事・家・家族」というキャリア総取りのために結婚したいという層。「親のために」とかいう人や「家族がいて一人前」みたいな動機の人が多い。総じて他人の目を気にするタイプです。
★「転職」の一環として:「結婚は永久就職」なんて言葉も昔はありましたが、実は結婚は転職の一種という側面もあります。「自分のキャリアプランのため」「結婚して全く別の生活をしたい」「現状打破のため」なんて動機の人。たまに「結婚して縁もゆかりもない土地に引っ越しました」とか「結婚して会社辞めました」なんて人がいますが、そういうタイプです。婚活をする人の中では実は一番多いと自分は思っています。
★「セーフティネット」の一環として:結婚して安定した生活がしたいという層。片方が専業主婦(夫)というだけではなく、両方派遣社員で一人では生活が苦しいからというような人も含まれ、近年ニーズが高まっているように感じています。
両方のニーズが合致した場合、結婚に向けて歩みだすわけです。
で、『AERA』の読者層というのは当然ながら一番上の「キャリア総取り」の一環として婚活を志向していました。そもそも婚活の初期というのはキャリア総取りのためにデキる女*1が結婚を目指して奔走するというのが定番なストーリーだったわけです。
でも、婚活がメジャーになるにつれ、それ以外の理由で参入する普通の人が増えて来ました。で、残念ながら男性で「キャリア総取り」を目指してくる人ってそもそも数が少ないし、いたとしてもロクなもんじゃないんですよね。
以前マイナビウーマンさんで記事にした人もそうなんですが、
年収7000万だけどロクなもんじゃないなっていう。
その理由は言うまでもなく、男性で「キャリア総取り」を狙うようなハイスペックな男性はとっくに結婚しているか、もしくは婚活する必要がないくらいにはモテるから。
つまり、『AERA』を読んでるようなハイスペック女性(もしかしたら30代の印刷会社事務の派遣社員とかも読んでるかもしれんけど)の眼鏡にかなうような男性は婚活市場には数が少ないし、彼女らをターゲットとするような男性もいない。
そもそもニーズが極端に少ないわけだから、成功する可能性だって低い。婚活疲れだ、嫌婚だ、とつまりこういうわけ。
『AERA』が嫌婚特集を始めた理由。
それはつまり、自分たちが生み出した婚活にとって、自分たちはもう必要とされていないということに気が付いたからなのではないのでしょうか。
最後に、『AERA』はいまだにリケジョ連載とかしてて、大丈夫なのかと思いました。
*1:あくまでも自己評価ですよ
クラウドソーシングがクソな理由2
こんな記事が出ていた。
アメーバ、ママ向けクラウドソーシングサービス「mama&crowdベータ版」スタート:MarkeZine(マーケジン)
以前、こんな記事を書いたのだが、なんだかんだでよく見られているっぽいのでその続きを書こうと思う。
500円で婚活記事を依頼してきた人
クラウドソーシングであまりいい思い出がない。
使い始めた最初のころに試しで応募したある案件(当然ながらそれも単価300円であった)では「実績のないやつは応募してくるな」と言われたり*1、1本100円で記事書けとか言われたり。
で、極めつけが表題の依頼をしてきた人物である。1本500円で婚活記事書けという本当に心が躍る依頼であった。
見積もり依頼をされたので、返信したらそれ以来、返信はこなかった。
あまりに心が躍ったのでその依頼文はスクリーンショットに保存し、たまに見返している。まさに終わりなき悲しみである。
当時はイラつきしかなかったわけだが、よくよく考えると多少趣が異なっている。
そもそも原稿料とは何に対してのものなのか
最近思うのだが、もうライターという職種はなくなってしまうのかもしれない。
いわゆる「100円ライター」の仕事が成り立つということは、そこに需要と供給が発生しているわけだ。
単価500円でどんなライティング仕事でも頼める(と思っている)ということは要するに、それで仕事を受ける人間がいる、ということを示している。
では、そうした記事と「文字の羅列」という意味では同じの、いわゆる「まっとうなメディア」に載る記事の違いとは一体なんだろうか。
これは自分も含めてだが、いわゆるwebライターという職種はすでにライターといいながら企画を立てて、媒体に持ち込み、取材(取材手配含む)取材の際にはカメラで撮影まで行う。、進行管理、改行の頻度、キャッチの付け方を工夫したうえで原稿が出来上がった後はWodpressで入稿する。
つまり、ライティングという業務の意味合いがどんどん拡張されており、その中でもこうした広義のディレクション能力の比重がどんどん高まっているのではないだろうか*2。
こうした仕事と「誰でもできる」「在宅でも勤務可!=取材しない」的な仕事との距離は今後はどんどん広がっていく。
だが、こうしたスキルが、果たしてクラウドソーシングで身につくのだろうか。
IT業界化するライター業界
自分が言いたいのは、要するにライターという「記事を作る」同じスキルを持っている人たちの中で、ディレクター色の強いライター(よくライターが対談に出てくるときに使われる謎の肩書「編集・ライター」みたいなもんだ)とライティングメインのライターという2分化がすでに始まっており、クラウドソーシングの隆盛はその時流に乗っている、ということだ。
これはあたかも、プログラマー、システムエンジニア、プロジェクトリーダーとか、フロントエンドエンジニア、うんちゃらエンジニアみたいな感じで職能やスキルで細かく細分化されるエンジニア業界のようなものだ。
同様にライターという業界自体がIT業界のように、出版社や大手ポータルサイトを頂点とするピラミッド型に垂直統合がより強化される過程、ということになる。
そして、個々のライターに対してはより上流工程の業務により高い対価が支払われる。
これはきわめて当たり前のことである。
だが、ここで問題となるのは、クラウドソーシングを続けることで「今は100円ライターでも、そのうちディレクション業務メインのライターにシフトチェンジできる」というキャリアプランを築けるか、ということなのだ。多くのクラウドソーシング擁護派の意見では、ここが適当に処理され、なんだかステップアップできる前提になっているのだが、これは本当なのだろうか。
恐らくこれは「あなたは日々更新されるクソアフィリエイトブログ(クソバイラルメディア)のクソ記事をだれが書いているのか気にして生きているのか」という問いによってわかるだろう。
つまり、クラウドソーシングが罪なのは単価が安いこと以上にキャリアプランができない工程業務を続けさせる、そしてその構造を固定化させることにあるのではないのだろうか。
はちま起稿 月間1億2000万回読まれるまとめブロガーの素顔とノウハウ
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「婚活」が終わる日
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「婚活」をするための条件
突然だが、婚活を積極的に行うため*1には2つの条件がある。
1:自分の周りで適当な付き合えそうな(結婚できそうな)人がいない
2:少なくともいつかは結婚したいと考えている
あまりにも当然といえば当然だが、この2つの条件を満たした人がある程度いることが、婚活という市場が成立しつづけるために必要な理由となる。
で、1について考えてみると、これは要するに「ある程度年齢が経って周りの人たちがみんな結婚してしまった」「異性が極端に少ない環境に長くいた」「そもそも友人・知人が少ない」といったあたりが原因となる。
ある程度社会経験を積むことで人は「どうやら自分は周りに適当な人がいない」状態にあるということを認識するわけだが、ここで問題となるのが、婚活という活動は早く始めれば始めるほど有利、ということだ。「20代から50代の男性が全員20代女性に向かう問題」とかここではいろいろ問題があるが、それはとりあえずおいておく。
ここで問題となるのが「『婚活を始めなければならない』ことに気が付いた時には自分の市場価値が落ち始めている」ということだ。
これは婚活という活動が持つ根本的な矛盾で、婚活における高望み問題も、普通問題も、シンデレラ問題も根本はこの問題に端を発している。
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婚活の攻略法
だが、ここまで読んだ人はこう思うのではないだろうか。
「だったら、早く婚活始めればいいじゃん」と。
大学から付き合ってる彼氏と結婚する。
入社後早い段階で会社の同期(先輩)と結婚する。
これらにはもちろん、離婚のリスクや自身のキャリア形成におけるリスクもあるが、短期的な「結婚」という視点で見れば勝ち組である。
また、もう一方で根本解決として、そもそも結婚しないという選択肢もある。
(今のところ)我々は結婚を強要される環境にはないので、これはこれで選択肢としては「アリ」だろう。
結婚することが普通とみなされる社会においてこの選択をすることはなかなかにハードルが高いものだが、婚活ブームによって「努力しないと結婚できない」という考えが定着した分、そこから「降りる」という選択肢も簡単になった。
どちらにせよ、「婚活の最強の攻略法は婚活しないことだ」
ということに多くの人たちが気が付き始めている。それが今の状況だろう。
現に、国立社会保障・人口問題研究所の「結婚と出産に関する全国調査(2010年)」によれば、結婚について「ある程度の年齢までに結婚しよう」という人が過半数を回復し、「結婚に対する先延ばし意識が薄ら」いでいるという*2。
だが、これらの根本的な解決法を実践できるのはこれから婚活を始める人たちである。
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さよならロストジェネレーション
問題は、今婚活している人たちだ。
彼らは、人的リソースがなく、自分の市場価値が下落していく中で「結婚するのが普通だ」という価値観を刷り込まれているため「婚活」をやめることができない。
そして、彼らはいわゆる「ロストジェネレーション世代」である。
「婚活」という言葉が生まれた初期に『AERA』などで想定されていたのはキャリア女性による「仕事・子供・恋愛」の「キャリア総取り」の一環であった。だが、実際に婚活市場を支えたのは彼らロストジェネレーション世代であった。
ロスジェネ世代の先頭がすでに40代にさしかかりつつある現在、彼らが婚活市場に占める割合は今後どんどん減っていくだろう。
そして、今若い人たちが婚活を必要としなくなる。そうなることで婚活はどう変化していくのだろうか。「見知らぬ人と出会うツール」として姿を変えて生き残るのか、婚活市場自体が縮小していくのか。
「若者の婚活離れ」がマスコミに登場する時、それはロストジェネレーション問題が「なかったもの」として「最終解決」された時なのかもしれない。
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童貞騎士と名誉女性戦略の失敗
- 童貞騎士とは何か
最近「女性を尊重しているのに女性からモテない」的な話が何度目かのブームを迎えているようだ。
自分としてはこれはフェミニズムとか学校教育といったそこまで大きな話ではなく、基本的に童貞騎士問題のように思える。恐らく、ここで登場する人たちは「女性に裏切られた」「女はやっぱりクズばっか」という情念をもつ童貞暗黒騎士(ダークナイト。成宮寛貴ではない。)ではないだろうか*1。
童貞暗黒騎士とは、童貞騎士が転生した存在である。
その前に童貞騎士とはなにか。
- 名誉女性という戦略
名誉女性とはなにか。それは「女性に対して理解があるように振る舞うことで女性からの評価を上げようとする」戦略の事を指す。
例えば、テレビのおネェタレントやリベラル派の論客、サブカルジゴロなどがその最たるものなのだが、
その昔、あなたの周りにもいなかっただろうか。
男で少女マンガ読んでるとか、女性誌読んでるとかわざわざ言ってる人間が*2。
彼らが取っているのが、名誉女性戦略である。
こうして並べてみると、童貞騎士と名誉女性というのは非常に親和性が高い。
「女性に対して優しい」のと「女性に対して理解がある(かのように振る舞う)」ことは同時採用可能な戦略であり、かつ親和性が高い。
だが、ここで問題になるのが、当たり前だが、名誉女性戦略を採用したとしても評価される人間とされない人間がいる、という事実である。
この事実は、童貞騎士を女性すべてを憎む童貞暗黒騎士に転生させるのに十分なほど残酷だ。
つまり、フェミニズムや学校教育を信じていたのに裏切られたことなどではなく、
「極めて身近に上手くいってるやつがいるのに自分が上手くいかない」
「(DQNカップルのような人たちではない)知的な女性であってもホイホイ名誉女性と付き合ってる」
ことが童貞騎士を暗黒面に堕とすのではないだろうか。
学校教育を改めることなどできない。ましてや、全ての童貞騎士を「モテ」ることで救済することなど不可能である。
では、どのように彼らを軟着陸させるべきなのか。それこそが必要なのではないだろうか。
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仕事のお知らせ
また仕事のおしらせです。
今日(明日)発売の週刊SPA!さんの特集「SEX格差が拡大中!セカンド童貞の悲劇」にコメントしました。
コメントとしては2か所ほどですが、結構いろいろしゃべってそのエッセンスが使われているかと思います。
というか、特集の内容ヤバいので興味のある方ぜひご覧ください。
マイナビウーマンさんも継続して寄稿しております。
婚活アナリストが「一番身近な婚活成功者=妻」に聞く~奥さん、どうやって婚活したんですか?~ | 「マイナビウーマン」
こちらも合わせて何卒よろしくお願いいたします。
仕事のお知らせ
またしてもとにかく忙しく、告知もままならない感じですが、色々と記事を書いております。
■マイナビウーマンさんで記事書きました。
回転寿司か闇鍋か!? 知っておきたい婚活パーティの基本形式とタイプ別攻略法 | 「マイナビウーマン」
婚活パーティについての記事を書きました。とうとうマイナビさんへも参戦ッ!!
■週刊プレイボーイさんにコメントしました。
相変わらずけしからんグラビアが満載の週プレさん。
「今年こそ本気で結婚相手と出会う方法」という特集に少しコメントしました。
2つともども是非ご覧いただけると幸いです!
小規模の組織にとって、「やる気はあるが責任はない」人は害悪
なかなか面白い内容だった。
正直、当事者どうしの問題に関してはあまり興味はなく「労働審判でも起こすしかないだろ」(正直、労基署はあまりオススメしない)ぐらいの事しか思わないのだが、今回の一件で思い知らされたのは、
小規模の組織にとって、「やる気はあるが責任はない」人は害悪
ということである。
「やる気はあるが責任はない人」とは
「やる気はあるが責任はない」というのはつまり、業務を遂行していくやる気があり、人や組織に対していろいろ意見をするが、その人自身は責任を取る立場にない人、ということになる。
今回の騒動で言えば、株式会社参謀本部の責任を取る人、といえばもちろん経営者=株主である。
だが、当該の人(個人攻撃が目的ではないので、直接名前を記すことは控える)は株主ではなく業務委託らしき雇用状況*1なのに、会社の行く末を案じて様々な発言・活動を行い、若干頼りなげな社長のために様々な助言を行っている。
これだけみると、「なんだ、いい人ジャン!」と思う人もいるだろう。
ところがこれこそが実は「やる気はあるが責任はない人」が小規模な組織にとって害悪であるという理由になる。
「やる気はあるが責任はない人」の問題点
例えば、社長と社員2人という組織について考えてみよう。 社員Aは意欲があり、会社をより良いものにしていきたいと思っている。社員Bは意欲はそこそこで自分の給料が毎月ちゃんと振り込まれるならいいと考えている。
会社がうまくいっているうちはいい。だが、うまくいかなくなった時にどうなるか。
社員Aは社員Bにこういうのではないだろうか。
「社長のやり方は間違っている。○○をやったほうがいいと思うんだよね」 と。
つまり、 「やる気はあるが責任はない人」は社長の対抗勢力として成立しやすいのだ。中川淳一郎氏がいう、
「最近社長のやり方にはついていけないんですけど、ヤマダさん、どうですか?」みたいな話になり「そうそう、私もそう思ったのよ!」なんて言って派閥が生まれる。
起業したいと思っているお前ら、この意識の低い4ヶ条でそれなりの零細企業を作れよこの野郎 - 僕と花子のルンルン生活だヨ!より引用
という状態である。しかも、この「社員A派閥」は株主=経営者とは違う目標を持って行動することになる。社員Aが社長と同程度の責任(つまり、会社に出資しているとか)であれば、「会社を大きくする(存続させる)こと」という大きな利害については同じことが多いが、社員Aが平社員である場合、「社員にとって良い会社であること」や「俺が有能であると証明されること」といった、全く利害が異なる行動原理によって動くため、利害の調整がより困難になる。で、小規模な組織である場合、こうした利害の調整をするほどの余裕がない可能性が高い。
また、「やる気はあるが責任はない人」は一般的にいう「頑張っている人」であることが多い。そのため、業務領域を多岐に広げがち*2で、他の社員との業務量のバランスが取れなくなることが多い。というか、まさにそうなるために「頑張っている」のだが、それと同時に待遇面での不満を持ちやすい。「自分はこんなに頑張っているのに…」というアレである。
自分で仕事を増やしておきながら「自分はこんなに頑張ってるのに報われない」と言い出すわけだから始末に負えない。
では、どうしたらいいのか
実は、「やる気はあるが責任はない人」はどんな組織にも一定数はいる。大きな組織でそれがあまり問題にならないのは、組織が強固なため、組織の序列を飛び越えた批判はできないのと、利害を調整する余裕があるためだ。
それができない小さな組織ではどうしたらいいのだろうか。一番簡単なのは、社員を2人にして、できれば2人の折半出資で会社を作ることである。
そして、重要事項は2人で決定し、実作業は外注(これは業務委託でもアルバイトでもいいけど)を交えて行うことだ。
それも難しい場合。「やる気はあるが責任はない人」にこう言ってみてはどうだろうか。
「じゃあ、●●君もウチの会社に出資して一緒に頑張ってみないかい?」
と。